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インディーロックについてゆるくまとめていきます。不定期更新。 This blog makes feature in the indie rock music from old to recent. Loosely update.
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Archive for July 2013

Elite Gymnastics resume a project under the new name "Default Genders"


※2013/08/07追記
以下のポストは発表時の名前、Dead Girlfriendsで書いてますが、同じ名前のバンドがいたらしく、本日の時点で名前がDefault Gendersに変わっていましたので、なんとなく追記しました。

 たまにはショートコラムを。
ミネアポリスのK-popラバーなエレクトロデュオ、Elite Gymnastics(いつの間にかひとり抜けてデュオじゃなくなってた)が、名前を変えてリスタートするようです。
残ったメンバーはJames Brooks、Grimesのクレアの彼氏。そして、彼のニュープロジェクトとなるこのDead GirlfriendsのEP、Stop Pretendingのカバーをクレアが描いているという。なんでしょう、このうまいのかうまくないのか形容しがたいセンス。とりあえず、エビ中のイメージイラストとかを描いてもらいつつ、曲も書いてほしいものです。ソニーの人、がんばれ。

このニュース、Stereogumが
死んだ彼女のカバーイラストを、生きてる彼女が描いてる――
と、記事を結んでいたので、どうにも笑ってしまいました。

ちなみにニューEPはbandcampで視聴もできるし買えます。



ところで、このカップルは、ふたりとも日本のアニメ、ゲームコンテンツをアート的にとらえてる節があり、そこが日本人からするとまあ、すごいダサいですよね(苦笑)。
グライムスのアルバムの変な日本語とか。(苦笑) Blood Diamondとのコラボトラックのカバーアートとかも、狙っているのかマジなのか、ちょっとわかりづらい部分があったのを感じたものです。でも曲がすごいいい曲。



あと、なんか彼のメンタルコンディションに一抹の不安を感じさせるようなこのリードトラックのビデオですが、「かわいくて痛々しい才能あるミュージシャンの彼女とかいるんですから、DSやめなさいよDS!」というつっこみが先行して、曲が入ってきません。あと、ルナとトトロの目が怖いです。
普段はふたりでポケモンの交換とかしてるのかな~? あ、どうでもいいですねw


日本に来る機会があれば、死んだ僕の彼女をサポートアクトに迎えて、全国を回るといいと思います。それか、ポケモンセンターでライブすればいいじゃない!

Pure Bathing Culture - Dream the Dare



 とりあえず、今回は何も言わずDream the dareとPendulumの2曲を聴いて、あとは8月に出るアルバムを待てばいいと思います。
Pure Bathing Cultureはポートランドを拠点にする、ギターのDaniel HindmanとキーボードのSarah Versprilleによるポップデュオ。浮遊感のある、けれど歌としての芯もあるボーカルと美しいギターの旋律が特徴です。個人的な感想としては、すごくプロミシングなバンドが出てきた、というところ。この手の音は大好きです。



Sub Popのフォーク・ギタポバンドVetiver(去年、中心人物のAndy Cabicがデヴェさまとアコギツアーしてたんだって、まったく知らなかったです。)のツアーアーティストだったふたりが、ふとしたフィーリングで曲を共同で作り始めたのがきっかけでバンドを結成。デモ音源がSecretly CanadianのプロデューサーRichard Swiftの耳にとまり、彼のスタジオで録音されたセルフタイトルのEPを昨年にリリースしています。以下にそのころの音源を。



このGainesvilleなんかはPurity Ringとの相似も見受けられる、ドリーミーポップチューン。(もう少しチルウェイブ方面によればKeep Shelly in AthensとかSleep ∞ Overとかにも近い感じになるかも。)
ですが、やっぱり全体を通してあくまでもサウンドの核はサラ嬢の歌声と、ダニエルのギターなので、歌謡曲っぽさが消えない。そこがいいですね。Cocorosieを聴きたくなるような余韻も感じられます。



というわけで、1stのMoon Tideは8月20日前後にリリースだそうです。 I'm gonna swing like a pendulum~♪ いい曲ですね。
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No Joy - Wait to Pleasure


 いや、別にいま自分が苗場にいないからまったくもって気分はNo Joyだ、などという自虐ではいっさいなく、、、いや、本当にそんなことは断じてなく、No Joyを聴いています。

MBVやら、SavagesやらHaimやらという話が苗場方面からいろいろ漏れ聞こえてきており、そんなのに触発されたのかもしれませんが、シューゲイザーかつ女性デュオのNo Joyが今日の気分でした。

最近はもっぱら夕涼みの時間からはチルウェイブやらドリームポップやらで一日のクローズをするような生活スタイルができあがっているのですが、No Joyが4月にリリースしたセカンドとなるWait to Pleasureはまさにこの習慣には適役なアルバム。

何年か前に1stを聴いたとき、単純にシューゲイズかつオルタナよりの音で、当時はBreedersとかSonic Youthとかも引き合いに出されてたよなぁとか思い出しつつ(たぶんこのモンチコンの記事を読んで知ったのだと思われます)、このセカンドはドリームポップに接近して音がよりオブスキュアな感じに、さらに聴きやすい感じに変わってきている気がします。

Asobi Seksuがシューゲイズ方向からよりドリーミーな方向へと舵を切ったみたいな流れがあるのかはわかりませんが、このLunar Phobiaなんかはサンプリングなんかと組み合わせたよりドリームポップなイメージが強い曲で、聴きやすいといえば聴きやすいです。(まあでも、最初からAsobi Seksuはギターポップ色も強かったから、それは違うか)

1stのころのHawaiiなんかとは違いがけっこうくっきりと。


こっちのHare Tarot Liesは曲の煙い感じに合わせて、ヤリすぎちゃったときの幻覚をテーマに作られてるビデオが圧巻。曲もいいです。


かと思えば、Prodigyみたいな、直球ストレートなシューゲイズもあったりと、行きつ戻りつしている感じはありで、それもまた面白い気がします。


というわけで、とりあえずこんな感じで。
感想はと言えば、まあなんでしょう、フジロックやっぱり行きたかったな。
さて、お風呂にでも入りますか。いい湯かな~?


Saho Terao - A case of you



 SSWの寺尾紗穂さんが、ジョニ・ミッチェルのA case of youの邦訳カバーMVを公開していました。それが、まあ、素晴らしい出来だったので、ただただ無条件に貼りたくなりましたので、短いブログを。アジア人の出稼ぎ労働者のおっさんを歌った「アジアの汗」とか、詞をダースレイダー、編曲をイルリメが務めた昨年の「はねたハネタ」など、ところどころでハッとする作品を送り込んでくる彼女。A case of youは、James Blakeもカバーしていましたが、個人的にあのカバーはちょっとJB色強すぎで、そんなに好きではなかったのだけど、同じピアノでもやっぱり女性的な響きが似合う気がする。



ここから先の文章はただの蛇足。妄想です。
ただ、この曲の歌詞やタイトルは、物事を穿って考えるクセのある私的には、少々怖い歌なんじゃないかという疑いもあって、そのあたりの考えが無駄によぎってしまうのです。だって、ひとケースのあなたって、、、ねぇ。聖なるワインのようなあなたが私の中を流れるって、、、ねぇ。
まあ、そんなところも含め、いいですよね、ジョニ・ミッチェル。 いや、寺尾さんの話か。聴き比べると楽しいですよ。


言い忘れてましたが、私、邦楽も聴くんですよ。いろいろ。エビ中とか。
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The Love Language - Ruby Red out soon!



 失恋の痛みを音楽で癒す、などというと、それはなんともオールドスクールな、いや、もっと言えば、もはやおとぎ話に近い響きのストーリーに聞こえる。
が、それを地でやってしまったのが、ノースカロライナのローファイポップバンド、もしくは、フロントマンStuwart Mclambのソロプロジェクト(フルタイムのバンドメンバーは彼だけなのである)The Love languageである。
Big StarやGuided by Voicesからの影響、そしてWavvesやTimes New Vikingなどのローファイフォロワーたちとの共通点も指摘されていましたが、このファーストの音作りは徹底して低音質。そして、テーマは独白です。

デビュー作は、彼女に振られた傷心のスチュワートが、実家にこもってその元カノにあてて書いた数曲の楽曲で構成されています。
反省の弁を痛烈にエモーショナルかつナルシスティックに歌うピアノバラッドTwo rabbitsで幕を開ける。正直痛々しい。が、いい曲なのです。



で、痛々しいがいい曲というのはこの後も立て続けにポンポン飛び出します、未成年の少女とのイケナイ何かを歌ったんじゃないかとファンの間でひそひそ言われているLalita(ロリータと一字違い)とか、恋の始まりからケンカの様子、別れの決意をショートフィルム仕立てに歌ったSparxxxなど、延々とこの調子が続きます。どの曲も特徴的なのは、拒絶、終焉を歌っているのに、決して悲しいメロディではない点。ここにソングライターとしてのスチュワートの矜持が見受けられます。


その後Mergeに移籍し、2ndとなるLibrariesを出しますが、これも軽いプロデュースを現メンバーのひとりであるBJ Burtonに頼むくらいで、スチュワートがひとりで作り上げます。
やわらかなピアノと歌唱で入り、ストリングスセクションも混ぜるバラッドThis Blood is Our Own、1stのキャッチ―さを継承するHeart to Tellなど、こちらも名曲ぞろいで、もうこの数年、ずっと聴き続けている名盤2枚です。



で、ここでやっといつものごとく遅い本題なのですが、3年の沈黙を破って、このたび彼らの3rdアルバムとなるRuby Redがリリースされます。本国だと、明日かも。(Pandoraで全曲試聴なんかをやっているのですが、例によって日本ドメインはダメなのでリンクも貼りません。)
そして、公開されている2曲を聴くところでは、少しいままでとは違う要素を取り入れつつも、だんだんと落ち着いた音楽性にシフトしていっている印象を受けます。失恋の痛みで躁っぽく作ったアルバムから、ニュートラルになってきたのでしょうかね。。。 

Pilot Lightはブラスセクションとピアノ、おなじみのとろみがかったスチュのボーカルが耳を弾く
バラッド。



Calm Downはうねるベースにリードされるポップなトラックで、中盤から出てくるシンセの音とサイケなギターリフがいままでのThe Love Languageにはなかったタイプの楽曲です。うーん、これはなんか全体の雰囲気がどうなっているのか、楽しみだ。



という感じで、失恋に始まり、音楽の道の追求を始めたひとりの男の物語を、日本の片田舎からこれからも見守っていく予定です。というか、早くアルバムを聴きたいです。ちなみにこのアルバム、本当はもっと早く出す予定だったそうで、そのあたりの話とかもどこかがインタビューしてくれたら読みたいですー。

追記
そういえば、同郷(かな?)のバンド、Gross Ghostの曲のカバーとかもKEXPで披露していて、それがけっこうよかった。


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Friends - The Way



 どんなバンド名をつけようが、それにどんな意味を込めようがそれは自由です。しかし時代はネット社会。老若男女を問わず、ほとんどの人が音楽との出会いをネット上に求めています。
グーグル先生にバンド名を打ち込み、エンターを押せば、たちまちその未知の音楽にコネクトできる時代。どこでもドアじゃないけど、これって近い物ですよね。この軽い全能感。

でも、それはやっぱり間違いなのではないかという感覚をときどき起こさせるのが、検索しづらいバンド名問題。
ときにそのバンド名は、Woodsだったり Real Estateだったり、 Bathsだったり、 Dive(いまはそのせいでDiiv)だったり、 Nude Beachだったりと、いろいろあります。検索しても素直にご本尊にたどり着けない名前。

そして今回は、その大本命、ブルックリンのバンドFriendsの新曲の話です。
(ものは試しで、ぜひ検索してみてください)

Friendsはブルックリンのアートシーンから出た、インディーポップ、ディスコ・ファンク、など、さまざまな顔を持った曲色と、バンドの華でもあり中心人物のフロントウーマンSamantha Urbaniのポップアイコンっぷりが特色のバンド。
NMEやBBCのリーダーズポールで支持され1stアルバムのManifest!がヒットし、昨年は世界ツアーをやっていましたね。

メルボルンで遭遇する機会があったのですが、ほかのバンドとかぶっていたため断念したのをとても悔いています。というのも、バンドのサウンドの根幹をなしていた、ベースのLesely Hannが脱退してしまったからです。
海外ではフェスがあると、その週末をはさんだ前後にサイドショーが山のように行われるので、フェスでも出演時間がかぶって観られないうえに、サイドショーの日程もかぶって観られないということがよくありました。思えばぜいたくな悩みですね。。。

そしてやっと本題。

今回の新曲The Wayは、去年はFlorence and the Machinesのツアーでサポートを務めて世界を飛び回るかたわらで、Sky Ferreiraのプロデュース等、いろいろやていた元Test Icicles, Light Speed Champion, Blood OrangeなどなどなWikipediaの自称プロライター(という説明でいいのか。。。)Dev Hynesプロデュース、のシングル。Darwin Deezが所属するLucky Numbers Musicからリリースされます。
Gvs.Bをして「扇情的で、静かにゆらぐ炎のゆらめきのようなエモーションをたたえたバラッドソング」と言わしめたこのトラックでは、ベースのレスリーに加えて、パーカッション/キーボードのMatthewも抜けて3ピースとなったバンドのミニマムなスタイルの音が鳴らされています。



確かにスマッシュヒットしたI'm His Girlなどのようなうねりのあるベースラインに載せたファンクネスやビート感、シンセはないですが、よりエモーショナルな音楽性を追求したトラックは、味わい深いものがあります。

過去の楽曲はちなみにこちら。



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Summer Camp - Fresh



 Summer CampというバンドがMoshi Moshiからデビューみたいな話を見たのは、多分NME RaderのMix Tapeかなんかでフックアップされていたときだと思うのだけど、そのときも、その後の何枚かのEPなどを聴いた時も、いつも思ったことなのですが、まったく彼らの音楽がバンド名と合っていない。

いや、確かファーストシングルだったような気がするのだけれど、Ghost Trainはよかった。これは、なんかSummer Campって感じだった。確かに。



ブログタイトルのビデオよりも先に、昔のを貼ってしまった。。。 まあ、いいか。

Summer CampはロンドンベースのLo-Fiシンセポップデュオ。名前からは、木漏れ日差し込む森のキャンプに会いそうなフリークフォーク、もしくは真夏の日差しまぶしいビーチにぴったりなLo-fiサーフポップなんかを連想するのだが、まあ、聴けばわかると思うのですが、どことなくディスコ・チルウェイビーなフレイバーが強めで、若干フロアよりなのです。けれど、曲はいいから、なんだかいつも聴いてしまう。

で、本題です。9月に出る2ndアルバムから、Freshのリリックビデオが公開されていました。 ……やっぱり、なんかキャンプってよりダンスフロアよりな匂いがする。。。


この曲も、

この曲も、

……なんか多分、キャンプのとらえ方が違うんでしょうね。
とりあえず、彼らのキャンプ道をこれからもひたすら進んでほしいとおもいます。

ちなみに、Moshi Moshiは数多くアーティストが在籍していますが、男女デュオの中では、Slow Clubが好きです。
去年みたショーで、いきなりアカペラでハモリながらPulpのDisco2000を歌いだしたときは、思わず鳥肌が立ちました。いい思い出だ。よかったです、あれを聴けて。。。


と思ったら、けっこう世界各地で披露してるみたいでした。持ちネタじゃないか!

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Animation×Indie Tracks!!!



 「クールJAPAN」ほど、クールという意味と語感がほど遠い言葉もありませんよね。クールという言葉には、ダサい、という意味がいやがおうにも付きまとうこの感じ。これはきっと、テニスの王子様の作者が昔書いていたマンガの影響もあるでしょう。え、私だけですか?
いや、でもアニメは好きなんですよ。最近だと、グレンラガンとか。あ、それもう何年も前のやつだ。

……という、アニメ先進国らしい日本の作風とはやっぱり一線を画すアメリカのアニメーションですが、インディーロックとの親和性もなかなかのもので、(なにせあちらでは、アニメはエンタメというよりアートの一形態という認識が強いですしね) シュールなアニメ絵のMVがなぜか立て続けにいくつか来ていたので、なんとなくまとめて貼っておこうかと思います。

Ghost Beachは自主レーベルCrazy Heart Recordsからデビュー盤をリリースする予定の、ブルックリンのチルウェイブ・ディスコデュオ。シンセの気だるげなサウンドに、Passion Pitのマイケルを彷彿とさせるハイトーンボイスが特徴的。

アルバムからの先行シングルMoon Over Japanは、イラストレーターのLil Jonnaが手掛けた、カラフルでレトロスペクトな雰囲気がトラックにマッチした作品。ちなみに、オチが強烈なうえに悲しすぎるので、一度は観てほしいです。どういうストーリーなんだこれ?



続いては、みんな大好きYo La Tengoの最新作、FadeからOhmのアニメ版MV。村上隆的なサイケカラーの世界を、スポンジボブタッチな絵柄のくわえタバコの赤ちゃんが旅する不思議なビデオ。なんというか、シュールな世界観がヨラの音とあってるかあってないかと言われると、何とも言えなくなる気がするけど、まあいいか。ところでみなさん、月末はグリーンの芝生の上でヨラを聴くのですか、そうですか。いいですね。



で、締めはこちら、サンフランシスコのインディーフォーク詩人、Sonny Smith率いるSonny and the Sunsetの先月リリースされた4thアルバムAntenna to be Afterworldから、GreenBloodのビデオ。
こちら、オークランド在住の日本人アーティスト(アメリカ国籍の方かもしれません)、Teppei AndoさんとのコラボMVの第二弾。2010年のPlanet of Womanに続いて、Sonnyの詩や物語の世界を忠実に再現した絵本的なストーリービデオになっています。


Music Videoの世界はおもしろい。一時のプロモ―ション用途と刹那的な扱いでありながら、それでもイノベーションは止まらないし、つぎつぎにおもしろい作品が作られる。視覚的に残る曲、という矛盾も生まれ、それが逆にとてもいい。
そんなわけで、お気に入りのYours trulyでのBlue Hawaiiの素晴らしいパフォーマンスのビデオを最後に貼っておこうと思います。
アニメ関係なくなってますが。。。


Blue Hawaii "Try to Be" from Yours Truly on Vimeo.

The Little Ones (has been) Back!!!



 ぼんやり過ごしすぎなのはわかっているのですが、LAのサンシャインポッパー、The Little Onesが2月に、じつに5年ぶりともなる2ndアルバム、The Dawn Sang Alongをリリースしていました。完全にスルーしておりまして、いまさらながら彼らが戻ってきたことに歓喜しております。

2006年にAstralwerksからリリースした7曲入りのデビューEP「Sing Song」が、The Shins直系のすばらしすぎるギターポップアルバムで、続く1stフルMorning Tideもよかっただけに、その後の沈黙はなんというか、、、まあ解散したのだろうなどと思っていたのですが、こうして帰ってきた彼らは、やっぱりあのなんともいえないゆるくて甘ずっぱい、でも爽やかな夏の雰囲気をまとっていて安心しました。

新譜からはとくにこの曲、Boy on Wheelが最高です。
軽やかなギターに、フロントマンのエドの伸びやかでややハスキーがかった繊細なヴォーカルがからむ、まさにThe Little Onesなポップチューン。エドの声は、The Little Onesのもっともわかりやすい魅力のひとつだと思っています。




覆面姿の男たちが波に乗るビデオも公開されてるArgonautsもいい。Vampire Weekendの専売になってしまった感もあるカリビアンなサウンドも、やっぱり彼らの曲調との相性は抜群です。



あー、海に行きたくなります。ですが、半島のど真ん中で山に囲まれている私の生家からは、海へはどの方向にも山を越えなければたどり着けず、だからこそ、ここでこうして、スピーカーから聴こえてくる海の空気を風鈴の音といっしょに感じ、とりあえずの満足感を得ているのです。
それがいいことかどうかは、また別にして。

過去の名曲を下に貼っておきます。


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An experiment of Indie Rock Sales - TV Girl


 
 サンディエゴのチルウェイブ・バブルガムポッパーのTV Girlが先月リリースした3枚目のEP「Lonley Woman」についての売り上げ報告をブログで行っていた。3枚目にして、初めてEPを売る(先の2枚はフリーで配信していた)ことを決断したのは、彼ら自身が、いま音楽を売るということはどういうことなのかを実験したかったからだと述べています。全文はこちら



彼らは自分たちで音楽をやりながら、同時にこうも思っているようです。「いま実際に音楽に金を払うメリットは、アーティストたちに対しての補償ってことぐらいなんだろうけど、そんなあいまいな概念は、自分の預金残高を前にしたら一瞬で砕け散るよな。音楽をフリーでダウンロードするほうが、時間もお金も、手間もかからないのに、誰が音楽を買うんだよ。」と。

また、自分の全音楽消費の中で、対価を払って得ているのは20分の1くらいの割合で、ほかはダウンロードやストリーミング(Spotify含む)、ラジオなど、お金のかからない音楽の楽しみ方がほぼ全部を占めるとも語っている。自分がお金を払ってでも入手する際は、すでにかなりのファンであるようなアーティストで、そのアーティストを支援したいと思えるような人たちに限られるそうです。

この気持ちは非常にわかります。いまや、音楽に対価を払うという行為は、「その音楽を聴く」という目的の達成のために払われるわけではない。フィジカルなプロダクトとしてコレクションしたいのか、どうしてもiPodに入れて持ち歩きたいのか、アーティストに次の作品を期待するか、そういった様々なフローを乗り越えた場合に限り、やっと財布に手がたどり着く。これは現実に、私自身にも起きているのです。



それに、音楽産業の衰退とは反比例して、音楽自体は増える一方。音楽を作る、そして発表する手段の簡略化は、当事者や好事家にとっては好都合ですが、一般消費者にとってはただの複雑化。自分で自分の好きな音楽を選ぼうにも、もはや広大な音楽の海に、どこから足を踏み入れていいか見当もつかないし、泳ぎ方をそもそも知りません。 そして、そんな一般消費者をメインの購買層としなければならない産業側からしたら、これはもはや詰んでいる状態なのでしょう。お金を使うのは、数パーセントに満たないコアな音楽ファンだけなのですから。
※日本のおまけCD産業について言及しているわけではありませんので、あしからず。

ただそれでも彼らはこう主張します。「違法ダウンロードはやっぱりおかしい。自分たちは、bandcampのように、アーティストに直接お金を支払えるシステムを好む。トレントを使うのはフリーで、その際アーティストにまったくお金が払われないことがおかしいのはもちろん、トレント側こそ、たいした努力もなく、本来アーティストが得るべき利益を代わりに得ている。それは間違っているんだ」と。

そして、じつはここからが本題なのですが、TV Girlは、デジタルDL、カセット、Tシャツ(DLコード付き)、ストリーミングなど、それぞれの音源販売方法のメリットとデメリット、利益などを具体的に検証して、感想を書いています。

詳しく書き出すとかなり長くなるので詳細は参照元を見ていただきたいのですが、要約するとだいたい感想はこうです。

DL販売
・Bandcamp最高
・iTunesはダメ。マージン取りすぎ、登録も煩雑
・その他のAmazonDLなどについてはまだ結果が出てない
カセット販売
・制作数制限とかいろいろあって、まあ考え方次第かな
Tシャツ販売
・これはふつうにおすすめ、売る側にも買う側にとっても
ストリーミングサービス
・Spotifyで5000回ぐらい聴かれてたけど、なんか50セントくらいもらえそうでうれしいわー(棒)

今回の検証にレコード、もしくはCDが入っていない(収録曲数の関係で断念したそうです)のが残念ですが、概ね実験結果はこんな感じで、結論としては、Bandcampはいい。そして、Tシャツとのセット販売はマジいい感じ、という報告でレポートは締められています。

金額などをさらしたうえで書かれていますので、細かい内情も知ることができためになった反面、金額の多寡やバンドとしての規模など、インディー文化が盛んなLAといえども収支はこれぐらいなのか、、、という感想もあります。ただ、見方を変えれば、これくらいの規模でも、やり方次第で継続的な週末ヒロインならぬ週末バンドを運営していくことは可能だというサンプルにもなっていますので、興味を持たれた方は元ポストを読んでみてはいかがでしょうか。

というわけで、最後にLonely Womanのプレイヤーを貼っておきます。夏にぴったりな、ゆる系ローファイポップです。気に入った方はぜひ買われてみては?




ちなみに、前段と後段で時間をおいて書いているうえに推敲とかしていませんが、日記なのでご容赦を~。



Islandsまた新譜だすってよ


 というか、カバーが怖いです。TobaccoのSuper Gumを観たときの、なんかいやーな感じに近い印象を受けます。(個人的な感想です)

もとUnicorns、Human HighwayやMister Heavenlyなどのサイドプロジェクトでもおなじみの、カナダの眠らない男、Nick "Diamond" Thorburnの在籍するバンドIslandsが、昨年のA sleep & a forgettingに続く最新作、Ski Maskを9月にリリースするそうです。



昨年はアブストラクトヒップホップのEL-PのシングルStay Downなどでもフィーチャされるなど、とにかく精力的に動き回る、多忙そして多才な彼ですが、今作は“怒ること”をテーマに作られているようです。なんだそれ? とまあ、テーマはともかく、サウンド的にはいままでのキャリアの集大成的な、ごった煮的な感じになっているとも語っていますので、期待できそうです。



きれいなピアノの旋律が、突如ひねくれたヘロヘロのキーボードに変わる、ニック節全開の愛すべきポップソング、Wave Formsが先行で公開されていましたので、まずはそれを貼っておきます。アルバム楽しみです。

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Hebronix - ダニエルくんの憂鬱

突然の酷暑に体が慣れない。とくに、この日本のうだるような湿度の暑さを体感するのはまるまる2年ぶりで、体が熱の排出法を忘れているらしく、汗があまり出ない。困った。けっこう汗はダラダラかくタイプで、少しジョギングすればシャツは絞れるほどだったのになぁ。。。

という、なんとも居心地の悪い夕暮れに、なぜかHebronixはけっこうしっくりきました。早くも下半期のベスト候補ですか。

YuckからDaniel Blumbergが脱退すると聞いたときは、「どこへ行こうとしているのだ、この兄ちゃんは。。。」と思ったものですが、こんな地平に降り立とうとは。成熟なのか、早すぎる老成なのか、聞けば、彼はまだ23歳だそうです。

Danielの新プロジェクトHebronixのアルバム、UnrealはATP Recordingからリリースされます。現在Pitchfork Advanceにて、多分明日まで試聴できるようです。

先行で、ラース・フォン・トリアー監督の次回作「ニンフォマニアック」に出演する謎のモデル件女優のStacy Martinをフィーチャーしたビデオも公開されてました。



アルバムは、アカペラの唄声から始まる10分超のロングトラックで幕を開けます。曲はギターとヘロヘロなキーボードに鳴りもの、サンプラーが交じり、徐々にスローな展開にシフト。この曲展開はアルバム全体にわりと共通していて、歌唱よりもギターソロのパートが多く、長い尺の曲が多いのが特徴。ちなみにアルバムは全6曲、40分超。 韻は踏んでません。

本作について海外メディアのインタビューを読んだところ、灰野敬二からの多大な影響を公言していたので驚きました。確かにノイジーなリフが多いですが、ゆったりとしたピアノもおなじくらいの頻度で入ってくるため、決して聴き苦しくなく、むしろ心地よい。
音の作りは、プロデューサーを務める Neil Hagertyの力によるところもあるのでしょう。彼は90年代に活躍したオルタナ・ノイズバンドRoyal Truxのフロントマンだとのことです。



また、先に述べた海外インタビュー、「レコードを売るためにツアーして世界を飛び回るのはもううんざり」とか、「いつも、けっこういいレコードを作ったってリリースした後は思うんだけど、そのちょっと後になったら、クソ、やっぱこれ思ってたのと違う! って思うんだよなぁ…」みたいな赤裸々な話が多く「全体的に自分でもよくわかっていないんだ」という本音の部分を聞き出していておもしろいです。
15歳ではじめて組んだバンドがいきなりメジャー契約、マーキュリーにノミネートとか、まあそんな経歴を歩んで来れば、いろいろあるのだろう。凡人の私には彼の苦悩はわからないが、天才の彼にもそれはわからないとのことだ。それを持て余しながらも、絵を、作曲をやめないのだから、やっぱり彼は天才なのだろう。支持します。Yuck、私すごく好きでしたので。でも、こっちのが好きかも。

にしてもです、去年の夏にフェスで見た彼は、若き日のディランに生き写しで、すばらしいシューゲイズポップを気だるげに弾いていたのですが、夕日を浴びながら歌う姿はそれはそれで様になっていました。

それがいつのまにか、こんな感じの相貌になり……


日々こんなことしてるなんて、、、ちょっと彼の生活がウラヤマ心配です。



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-Don't Overlook Artist 2- Waxahatchee



 Waxahatchee、耳慣れないこの名前は、彼女の両親が住むアラバマを流れる川の名前から取られている。

Cerulean Saltは、WaxahatcheeことSSWのKatie Crutchfieldのソロプロジェクトの2ndアルバム。昨年発表された1stのAmerican Weekendは完全に宅録音響で録音された、アコギ主体のローファイドリームポップ。ゆるゆると吹くそよ風のようなアルバムでしたが、自分も含め多くの好事家からはスルーされていたようです。



ケイティは、双子の姉妹Alisonと一緒に在籍していたポップパンクバンドP.S. Eliotなどを経て、ソロに転向。ちなみに現在、そのアリソンは昨年プチブレイクした今後が楽しみなパンク・パワーポップバンドSwearin'のメンバーです。(ケイティの彼のキースもSwearinでベースを担当)ビキニ・キルやラモーンズを愛し、ひたすらパンクに打ち込む青春を送ったケイティの行先は、Rilo Kileyとの出会いによって、次第にフォークポップの道へといざなわれていったようです。
それも、徹底的に他者の存在を排し、ひたすらパーソナルな詩を紡ぐことにフォーカスすることがテーマだと彼女は語っています。


冬の間にレコーディングされたためか、全体的に硬質でシンプリファイドされていた前作とは違い、本作はCoast to Coast等のポップソングを始め、色どりが増した構成になっています。宅録ではなく、バンドを入れて録音されたため、音も曲調も全体的に引き締まっていますね。
長くて3分、短ければ1分台のフォークポップ全13曲33分。遠くアラバマ湖畔の小川に短いトリップをさせてくれる、良盤です。



小さなころと大人になってからの、周囲の人たちとの関係性の違いを歌う、You're Damaged。




アルバムはどちらもNYのパンクインディーレーベルDon Giovanni Recordsからリリースされています。このレーベル、ほかにもVacation、Shellsnag、Laura Stevensonなど、いい感じのアーティストが多いので、私的に要注目です。




ところで、冒頭の写真の犬は、ちょっと大きすぎではないでしょうか。。。

Okkervil River - It Was My Season


 少し前ですが、オースティンのオルタナフォークバンドOkkervil Riverの9月リリース予定の新譜、The Silver Gymnasiumから、It Was My Seasonのリリックビデオが公開されていたのでメモ代わりに。

今回のアルバムコンセプトは、フロントマンのウィルが幼少期に住んでた田舎の町を舞台にしているらしく、それだけ聞いただけだと「へー」という感じではあるのですが、町全体を描き下ろしたアートワークなども織り交ぜてのコンセプトアルバムらしく、そっちは味わいあって興味深いです。

何より、跳ねるピアノのリズムが印象的なこの曲を聴くだけで、期待が深まりますね。



ついでに、Okkeril Riverといえばこの曲、Unless It's Kicksです。


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-Don't Overlook Artist- Torres



「二度はねえぞ、二度は」

という女の情念に秘めた冷たい狂気をエモーショナルに歌い上げるナッシュヴィル出身、22歳のSSW、Torresことマッケンジー・スコット。

Torresはまたも上半期ベストに入れなかったことを痛切に後悔しているアーティスト。
聴きのがし厳禁ということで、ここで取り上げておきます。正直、いまの気分でいくと、Foxygenと並ぶクラスです。もう、素晴らしいの一言。

Honeyは、セルフタイトルのデビューアルバムTorresを代表する一曲。ノイズディストーション、太くシンプルなベースラインとドラム、ざらついた、でも伸びのある歌唱。上ずり、そして急く何かを抑えようとしているけど、それでもそれはあふれ出てしまい、ビートはほんのわずかだが、ゆっくりと加速していく。


ディストーショナルな部分はEMAを、その奥から主張するエモーショナルな歌はPJ Harveyを彷彿とさせる。フィメールSSWの系譜としては、本人はSt.VincentやSharron Van Ettenもフェイバリットに挙げている。



アルバムの最後を飾る曲、Waterfallも素晴らしい。滝の上から、滝つぼにむき出しになった岩肌をのぞき、明日の朝になれば、私は自由になれるだろうか? と問いかける、ダークでスローなピアノバラッド。


ちょっと見た目がタレントのシェリーに似てるのはご愛嬌ということで。

The National - Pink Rabbits

 ここ数日、雨がずっと降り続いていて、ストレス発散のジョギングにも出れず、なんだか悶々としている。まだ数日なのに、太陽が懐かしい。



私は、雨が好きではない。当然、雷も。滝のように降る雨の中佇むのなんてイヤだけれど、そうしたからこそ、最後に振り返ってみたら、そこに一筋の光が差し込んでいるのを見つけられたのかもしれない。そういう歌かもしれない。

でもここは日本の片田舎で、ピンクラビッツを作ろうにも、材料はなかった。
明日晴れたら、スーパーへ行こうか。




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郷愁のChapter Music



 オーストラリアはメルボルンに、Chapter Musicというインディーレーベルがあります。
ニュージーランドのFlying Nunの影響をたっぷり受け、古臭く、退屈で、でも本当に最高なローファイポップを追求している、愛すべきレコードレーベルです。

ファウンダーのGuy Blackmanが、シド・バレットのファンジンとして発行したChapter24という名前に端を発し、出身地のパースのアングラバンドのカセットコンピのリリースや、ソニックユースのトリビュートテープの制作、そして別のファンジンの発行など、紆余曲折を経て、メルボルンで本格的なレーベル活動をスタート。しかしGuyは2003年前後は日本で暮らしていたようで、レーベルは一時休止。さらに、その際テニスコーツのメンバーとしてバンドに在席していた経験もあるようです。
その後Guyはメルボルンに戻ってまたレーベル活動をスタートさせ、いまに至ります。(そのときのつながりなのか、テニスコーツもレーベル在席しています)。

昨年は、Twerpsというローファイポップバンドが地元のみならず、ニューヨークのUnderwater Peopleからもリリースされて話題になりましたが、良質なバンドはそのほかにもひしめいています。
なので今回は、いくつかのバンドのMVを貼っていきます。

TwerpsはまさにFlying Nunのバンドたちの歴史をなぞるようなローファイポップを鳴らすバンド。ローカルの中では、そのパフォーマンスは群を抜いていました。4回くらい彼らのショーを観ましたが、(Kurt Vileの前座を含め)彼らはまさにライブバンドで、CD音源とはかけはなれたパフォーマンスを披露してくれました。異様に舞台慣れした感じなのもよかったです。(唄はヘロヘロなんですけどね。)Vo.のマーティはいつのまにか髪が長くなっていますが、私が観ていときはいつもキャップ姿で、なんだかつるっとしたおでこといい、役者の濱田岳くんとイメージが重なるなぁ(味があるという意味で)といつも思っていました。…かなり余談ですが。
ちなみにマーティの父は、Paul Kelly and the Dotsというオルタナ、フォーク、スカ、ポップパンクなどの雑食性の音で人気を博したバンドのメンバー。同じくメルボルンを拠点に活動していましたが、音楽性は若干違いますが、影響は多分に受けているでしょう。


つぎの注目は、春にセカンドアルバムのCalender DaysをリリースしたDick Diver。すでに2010年の1stのときから耳の早いリスナーの間では話題になっていました。
オーストラリアの80'sジャングルポップバンドThe Go-BetweensやFlying NunレーベルのThe Cleanからの影響を感じさせるメロディライン。しかし、あくまでシンプルで無機質だけれど繊細な質感を持った曲調が魅力です。フロントマンのAlastairとRupertのヴォーカル以外に、紅一点の女性ドラマーStephのヴォーカルをフィーチャーした曲も1stのころより増えているように感じました。



Beaches(Jerry Leeのじゃなくて)はこれまた最近、2ndとなる素晴らしいローファイサイケ・シューゲイズアルバムをリリースした、女性5人組バンド。Dick Diverと同じく、去年は今年のリリースに向けての期間だったらしく、ライブを観られなかったのが残念。



Geoffrey O'Connorは地元のインディーアイコンともいえるソロアーティストで、(自己)陶酔型ドリーム歌謡ポップを奏でています。細見で小さくて、いかにも自己愛が強そうなたたずまいは、まったくアーティスト性そのものなのですが、メルボルンのシーンでは愛されキャラでした。ソロなだけに、キャラクター性が大事だということを理解していたのでしょう。



こちらも春にデビューEPを出したキャッチ―でポップなメロが特徴のバンドStevens。
音楽性は極めてTwerpsに近いものの、Stevensはよりガレージ・パンクからの影響も感じられるバンドです。



メルボルンという街の雰囲気は、適度にモダンでゆるく、人々が自分たちにあったペースで生きている感じでした。文化が混ざり合っている町ではありますが、嗜好的にはクラシックでトラディショナルなものを好む雰囲気があり、先鋭的なものよりも、古き良きものを好む傾向にあるのではないでしょうか。Chapter Musicは、そんな街の空気を反映しているレーベルだと思います。

ほかにも、完成されたポストパンクサウンドを鳴らすClubfeetや、シューゲイズサイケデュオLove Connection(NYに拠点を移している)、トライバルなエレポップ・ファンク集団NO ZU、エレクトロニカ・インディーポップバンドのI'llsなど、おもしろいバンドを観る機会が多くありました。それらについては、またいつか思い付きで書いていきたいと思います。




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R. Stevie Moore × Ariel Pink - Ku Klux Glam



 昨年のR.Stevie MooreとAriel Pinkがコラボしたアルバム。ふつうにスルーしてしまっていたのを思い出してサウンドクラウドを漁ったら、なんかこれ60曲ぐらい入っているのですが。。。
さすが、この変人×奇人の組み合わせ。なんとも言えないアッチ系の雰囲気を醸し出しつつ、しっかりしたポップソングから完全なエクスペリメンタル・サイケまで、好き放題詰め込んだローファイ万華鏡。マッドです。
BIG LOVEから邦盤LPも出ているみたいですね。


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Merge RecordsのDIYストーリー from Billboard Mag



 BillboardがMerge RecorsとSuperchunkの(もうすぐ)25年になろうとする歴史を振り返るコラムを掲載しています。ビルボードのDIY特集の中のワンパートのようですが、これがわりとおもしろかったので紹介します。元記事はこちら


記事は、マック(SuperchunkのVo.件レーベルオーナー)とローラ(Superchunkのベーシスト件レーベルオーナー、現在は耳の治療のためにバンド活動から離れている)へのインタビューを織り交ぜながら、歴史を振り返っていくものです。
冒頭、ライターは彼らを称して「彼らは、インディー音楽業界という先のまったくわからない不安定な場所の先端で、そこに光を探しててきた」と始まっています。

時は1989年、Superchunkの7'を売るために、ローラのアパートでDIYにレコードをプレスし始めたことでMerge Recordsがスタートします。若き日の彼らは、つぎのレコードのために今日のレコードを売る、いわゆる自転車操業の日々を送ったそうです。
インタビュアーはここで、彼らのリレーションシップ(マックとローラは当時付き合っていたが、このころ別れている)につっこみを入れ、暗に「ふつうバンド内で別れたらレーベルとかバンドってやめませんか?」と聞いています。
それに対し彼らは、「バンドにはバンドの、レーベルにはレーベルのそれぞれの価値がすでにあった。そして、僕らはそれがわからないほど直情的な性格ではなかったんだ」と答えています。

サーストンとキムも同じ気持ちだったのだろうか、ある瞬間までは、、、などと余計なことを考えながら、このレーベル初期に、彼らがバンドとしてもレーベルとしても希望とビジョンを持って活動をしていたことがうかがえる、含蓄のあるひと言だと思いました。

その後、時代はCDが主流になり、同時にMagnetic FieldsやNeutral Milk Hotelがヒット。レーベルは次第に大きくなり、自社ビルを持つほどに。Mergeの初めての大ヒットは、1999年のMagnetic Fieldsの69 Love Songsだそうです。(69では個人的には2枚目が好き。ちなみに、その前年のNMHのIn the Aeroplane Over the Seaもヒット作ですが。)





記事中は、Touch and Goにディストリビューションを委託していた話、Mergeの屋台骨を支える、デキる男、GMのSpott氏の話など、いろいろビジネス面の話も多くなっています。詳細はぜひビルボードの記事にて。

ちなみに、2013年6月16日づけのアメリカのレコード市場シェアの話があります。それによると、インディーレコードレーベルでもっともシェアが大きいのは、PhoenixやMomford & Sonsを要するGlassnote Recordsで1.96%。対してMergeは0.19%でSub Popは0.15%だとのこと。短期のチャートのようなので、そのタイミングのリリース数で上下するのでしょうが(最近は、Mikal, Bible, Eleanorなど、リリースが多かった)、Sub Popを上回っているのはすごいと言えるでしょう。
ですが、この数字の小ささからは、全市場規模のいいところ5%程度のパイをインディーレコードレーベルが奪い合っているのが推察できます。経営に関しては、インディー大国アメリカといえど、やはりリスクが付きまとっているようです。日本とはユーザー数の分母が違うので、数字のリアルさ、深刻さはちょっと測りかねる気がしますが。
とまれ、思うことは、自分は全音楽リリースの5%でひしめく数多くの作品を聴きまくることにのみ時間を注いでおり(それでもすべては聴けていない)、残りの95%のヒットチャート音楽はほぼ無視を決め込んでいるのだから、これはこれで、音楽が好きです、などと言っていていいのやら悪いのやら、頭が痛い話ではあると思いました。

話が大きくそれました。。。

そして2004年、Arcade Fireの「Funeral」が世界中で話題を呼び、レーベルは一気に軌道に乗ります。まさか、後にグラミーやビルボードチャートのトップを獲るアーティストがMergeから出るとは、このときは誰も予想はしていなかったでしょう。



もちろん、ほかにも多数の素晴らしいアーティストがMergeには在籍しています。
She & Him、Wild Flags、The Mountain Goats、そしてSpoonも。
Spoonのフロントマン、ブリット・ダニエルは、「誰も僕らに声をかけてくれなかったとき、Mergeだけが僕らとやりたいと言ってくれた。そのことだけが大事だ。」と言っています。

この話から伺えるのが、Mergeの魅力は、所属アーティストのバラエティの豊かさに加え、売れている、いないに関わらず、お互いの音楽をリスペクトしあっているところだと感じます。それがリリース作品や、レーベルの雰囲気からも伝わってきますね。
この後、インタビューは、どうやって新人との契約を決めるのか、というあたりにも及んでいます。サンプル盤をスタッフのみならず、信頼できる知人にまで聴かせて、感想を求め、誰か一人でも音が刺さる人がいれば、そこから考えて結論を出すそうです。こうして昨年から、HospitalityやMikal Cronin、SugarのBob Mouldまで、新たな契約をMergeと結んだアーティストたちがレコードを出しています。ここで少し動画を貼っておきます。





Mergeのさらなる歴史は、この本「Our Noise The Story of Merge Records」が詳しいでしょう。読みたいと思いながらまだ読めていないので、これは近いうちに手に入れたいと思います。

最後に、マックは来る8月発売の新作「I Hate Music」についてこう述べています。
「新作は、前作のMajesty Shreddingとはかなり違うものになる。前作は、音楽とノスタルジアについて書いた曲が多かったけど、今回はもう少し慎重にならないといけないような場所から得たものを扱っているんだ。もしテーマが老いることとかだったら、みんな敬遠するだろうから、ちょっとそうは言いたくないんだけどね……。ほかにも、喪失や死、友人や、生活の中にの音楽の役割いついてとかね。」
以前のニュースなどによれば、テーマはさまざまなものに対する愛とのことですが、かなり意味深な発言ですね。
楽曲軍的にもどんな構成になるのかいまから楽しみですが、それまでひとまずは、公開されているリードトラックのFOH(Front of the House)を聴いて気分を高めましょう。



 という感じで、ただの記事紹介がわりと長くなってしまいました。
ちなみに今回のポスト、本当はフライドバーガー妹こと、俺の妹がこんなにいいSSWなわけがないa.k.a.Eleanor Friedbergerの新譜「Personal Record」を上半期ベストに入れ忘れてしまっていたので、そのことを書こうと思っていたのです。それが、巡り巡ってこんな感じになってしまいました。なので、ここで一応Personal recordは、前作のLast Summerでは抑えめだったソングライティングのバリエーションが開花した、素晴らしいアルバムであると言っておきましょう。現代のPatti Smithか、Joni MItchelか。まだまだ育つ、女35歳。来日も希望してます。(メルボルンのライブに、まさかギター一本抱えて、ひとりで来るとは思いませんでしたよ。フライドバーガーさん。)

ちなみに先日公開された、ニューアルバムの中の一曲She's a Mirrorをフィーチャーしたショートフィルムは、鏡の中から語りかけてくる"彼女"(もうひとりの自分?)に焦点をあてた、メタ的サイコホラーちっくな仕上がりになっています。こちらもぜひ注目です。
(貼り付けが許可されていないので、リンク先で観られます)

Yeah Yeah Yeahs - Despair



 NYアートロック、ポストパンクムーヴメントから10年が経ち、それは浮き沈みもいろいろあろうとは思うけれど、Yeah Yeah Yeahsの4月に発売された4th"Mosquito"からのMV「Despair」は、彼らのキャリア最高の瞬間を切り取ったビデオになっている。



エンパイアステートビルの最上階で撮られたこのビデオは、MapsやGold Lionも手掛けるPatrick Daughtersが監督。Fever to Tellの大ヒットから、2ndの呪縛に陥ったShow Your Bornesを経て、It's Blitzでの巻き返し。そこからの4th、Mosquitoである。そのあたりのバンドが辿った変遷はカレン・Oもわりと認めているところらしい。
しかし、朝日が昇って、光が差し込む瞬間の祝祭感は紛れもなく彼らの歩んできた道への祝福であると思う。歴史が作品に与える影響を思うと、感慨深い。というか、このビデオはいい。

ところで、インターポールの新曲はまだですか?
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Delorean - Spirit



 スペインには陰と陽が渦まいていると勝手に思っていて、どっちもポジティブなムードではあるんだけど、太陽照り付けるビーチ、スパニッシュギターで踊る、みたいな陽の空気と、月明かりの下、日常からは隔離された楽園で、音とアルコールに逃避する、みたいな陰のムード。どっちもあの国の象徴的な部分だとは思うのですが、今回は陰の方の話。デロリアンの2nd FullアルバムAparがアナウンスされてて、リードトラックSpiritのビデオも出ていました。



 Deloreanはスペインのバレアリックディスコ・ダンスバンド。
話題をかっさらったAyrton Senna EPから4年くらいでしょうか? 一度確かQuattroかどこかで来日を観たきがする。確か、セットが短すぎて、演奏もダメダメだったような。

ピッチフォーク、夜行性のきみたちにぴったりな新譜(小波感)、だけどなんかサウンドプロダクションがよくなって、ドラムの音とかがおとなしくなりすぎじゃね? みたいな感想でした。 まあ、言われてみれば音はきれいになっていますよね。でも、シンセにメインボーカルとサンプリングVoが重なる部分の多幸感は健在です。Gui BorattとかJohn Talabot好きの人は注目ですね。


※スペインのイメージの大部分は、小学校のころ聴いたこの曲のイメージが強すぎるのです。。。
いつかプリマヴェーラに行ってイメージの上書きをしたいところです。



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