Posted by : A kind of Lo-Fi Jun 20, 2013

2013 Best albums of the year so far


2013年も早くも前半終了。
そこで、第1回目のポストでは、A kind of low fidelityが選ぶ2013年上半期ベストディスクを紹介します。

いきなりのポストがハーフイヤーベストとは我ながら思い切りのいい感じではありますが、このブログでは、だいたいこういう感じの音楽のポストをしていきますよ~、という名刺代わりになればいいなと。
それでは、5位からいきましょう。

5. Mikal Cronin :  MCII


  Suprechunkの新譜リリースを控えて(個人的にはLove Languageが待ち遠しい)、今年はいつにもまして勢いがすごいMerge Recordsからの新人(シカゴのTrouble in Mind Recordsから移籍したみたい)。
タイ・セガールのライブバンドのメンバーとしても活動していたほかにもいくつかのバンドに参加していたようですが、ぜんぜん知らなかった。
こんなローファイパンク/サーフポップのアーティストがマージから出るのはなんだか嬉しいですね。それだけで注目したし、実際聴いてみてそのポップさの虜にされました。

ポップミュージックのフォーマットに従って、緩急つけた3分ポップが矢継ぎ早に展開され、あっという間にリピートしているという不思議。





Shout it outとかChange、I'm done running from youみたいな曲はまさにツボすぎます。
ピッチフォーク曰く、曲のパワーとポップのエッセンスのバランスが絶妙であり、それが全曲に渡って自然に均一化されているからいいアルバムに仕上がっているんだという。ピッチフォークの音楽評論はなんとなく抽象的にすぎることが多い気がするが、まあ当たってるし、いいか。なんか、つまりこのいい感じのポップソングを昔の人はパワーポップと呼んだのかもしれない、とかちょっと思い出した。ピンカートン。

4. Kurt Vile : Wakin on a Pretty Daze


 肩の力が抜けるギターのリバーブが印象の、ミディアムテンポな表題曲(タイトルとはちょっと文字違うけど)Wakin on a pretty day。
この春のアンセムでした。散歩中とか、電車の中で聴いてると、桃源郷感がすごかったです。

Kurt Vileはフィラデルフィア出身のローファイ、サイケ、ルーツロックをベースにしたSSW。ソロでの活動のほか、元The War on Drugsのメンバーとしても知られる。
ループするコードとロートーンなボーカルが織りなすメロディが、煙った感じのカート節を出していて、そっけない感じではあるんだけど、意識を持っていかれる部分が多い。
ピッチフォークがキャリア最高傑作だって言うのもうなずける。



そういえば、去年の早い段階で彼のショーを観たときは、まだ新曲っぽいものはほとんどやってなくて、でも出されたアルバムを聴いてみると、どこかで聴いた感じの曲が多いという印象はあったので、もしかしたら演奏してたのかも、、、といまさら思いつつも、それはもう後の祭りかな。

3. Vampire Weekend :  Modern Vampires of the City



アイヴィー・リーグ的なイメージに反し、アフロビート取り入れたニューウェーブポップをかき鳴らしていたヴァンパイアウィークエンドも、いまやしっとりした大人の楽曲を作るようになったんですね。
いや、性急なビートにエズラの早口なボーカルとロスタムのキーボードが絡んで、、、というサウンドの根幹は変わっていないのだけど、A-PunkとかGiving up the Gunのようなアッパーなダンストラックは今回のメインではない(UnbilieversとかDiane Young、Worship Youくらい、ん? じゃあけっこうあるか)。

かわりにこの3rdでは、StepやYa Heyのようなギターレスのピアノトラックが新鮮で印象的だ。
なかでも、オークランドのヒップホップグループ、Souls of Mischiefのメロウなトラック「Step to my girl」をサンプルしたStepがやっぱり本作のハイライトになるのだろう。

さまざまな環境が変わっていく中で、それを音に反映させていくことも、あえてそれをせずにいることも、どちらも素晴らしい表現の道だと思う。
Everlasting Armsのような1stを思い切り彷彿とさせる曲も残しつつ、意識的にそのあたりのバランスを保って、バンドとしての成長や進化を自覚的にコントロールしているのだろうことを窺わせるあたり、やっぱりスマートな集団だと思います。
すごいバンドですよ、つくづく。



2. Various Artists  : After Dark 2



 もう数年来、夜の孤独や焦燥を、ただただこのひとりの男が手掛けるダークでメランコリックなディスコサウンドが和らげてくれている。私の夜のお供。
本作は、トラックメイカー/サウンドプロデューサーのジョニー・ジュエルが主催するレーベルItalians Do It Betterのコンピレーションアルバム。

冒頭のWarm in the winterは2年位前にシングルリリースされていたJhonnyとIdaによるデュオGlass Candyの名曲の再録。ミニマルなシンセの音が心地よい恍惚感をもたらしてくれる。


ジョニーのセルフプロジェクトSymmetoryや、昨年リリースされたのKill for Loveで話題をさらったChromatics(去年Harvest Fesで観たライブは最高でした)の楽曲も収録。


イタロディスコ、ミニマル、エレクトロポップ、ポストパンクと、オールドシンセにのせたクラシカルなエレクトロサウンド全編を通して鳴り続ける。

ちなみに発売後ひと月たって、現在アルバムはフリーで配信されています。
ジョニーのこういう泡沫っぽい考え方は、すごく音に表れている気がする。
諸行無常の響き、って言葉はまったく似合わないのだけど、「人生ははかない物なんだから、せめてこの時だけ楽しもうよ」っていう週末のダンスホールに渦巻いている空気を勝手に感じ取って、そこに心酔してしまっているのです。
DLはこのSoundcloudのページか、下のプレイヤーから。




1.  Foxygen : We are 21st Century Ambassadors of Peace & Magic


 「なんかまともじゃない気がする」、、、と、初めてこのアルバムジャケットを見たときは思ってはずだ。なんせ、逆ピラミッドの下からのぞく目。まさにイルミナティではないか。
そのうえ、アルバムのタイトルがこれまたぶっ飛んでいて、We are 21st century ambassadors of peace and magicって。
やっぱりカルトの一派か。どんな曲なんだろう、いろいろこじらせてエクスぺリメンタルな方向に行ったアーティストかしら。。。
と思って怖々聴いてみると、そこから聴こえてきたのは、スイートなサイケポップだった。(彼らが昨年EPを出してたのは知りませんでした。)
FoxygenはSam FranceとJonathan RadoからなるL.A出身のデュオ。
牧歌的なアリエルピンクというか、60'sサウンドをそのまま再現したプレイスタイルは、どこにも新しさはないものの、「彼ららしさ」は多分に含まれている。


何が彼ららしさかというと、それはサウンドコラージュの部分にあるらしい。
キンクスやヴェルヴェッツに始まり、ストーンズ、ディラン、ドアーズ、史上もっともロックが華々しかった時代のそうそうたるアーティストに影響を受けているのはアルバムを通して聴けばすぐわかるが、本当のすごさは一曲に含まれるサンプリングの数だという。


エレキングのブレイディみかこさんのレビューによれば、

――例えば、"On Blue Mountain"という曲である。
ドアーズを歌うブラック・フランシスではじまったなあ、と思っているとヴェルヴェット・アンダーグランドになり、ストーンズも入って来た、なかなか変化に富んだ助走じゃねえか。と思っていると、いきなり白いジャンプ・スーツのエルヴィスが出て来て腰を振りながら"We can't go on together with suspicious mind"のメロディを歌い出すもんだから、なんだこの人たちはふざけていたのか。と、大笑いしてしまうのである。
ここまで、1分30秒だ。めまぐるしい。めまぐるしいんだが、実に巧妙に繋がっている。

とのこと。
うーん、ここまで深く分析されると、これは分析するほうもさすがです。

SamとJonathanのふたりは、スクールに通いがてらこうしたクラシックなロックレコードを堀り、それをシェアしつつ確信犯的にこういった遊び心を作品に落とし込んだ。
そうして生まれたこのサウンドが、目下のところ自分にとっての日常のサウンドトラックになっている。
その事実は、自分自身もよっぽどな懐古主義者なのか、変化を嫌う、ゆったりとした生活を望む人生のタームに入っているのかはわからないけど、なんだかそっちのほう(変化に富んだ音)は日本のアイドルポップ方面で満たされているので、洋楽インディーとして好む音はこういう嗜好になるんだろうな、と思うこのごろです。とにかく、ずっと聴き続けてます。

あと、私もよく拝見しているインディーブログ、モンチコンの上半期ベストがこないだラジオで発表されてましたが、ほとんど同じラインアップなのはたまたまです。
ちなみに、次点はRhyeとかBathsですね。それでは。


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