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- Sarah Recordsアディクション
Posted by : A kind of Lo-Fi
Jun 26, 2013
昨年、メルボルンのToteというヴェニューで、オーストラリア出身、現ロンドンをベースに活動しているバンド、Allo Darlin'のショーがあった。
そもそも、異国の地で、しかもインディーロックバンドのショーで、日本人がステージ前方で楽しげに踊ってる(私です)姿がけっこう珍しかったらしく、現地在住の日本人のお姉さんがたに終演後に声をかけられた。
ふたりとも現地の人と結婚していたり、ヴィーガンだったりとおもしろいライフスタイルの人たちで、何より音楽の趣味が近く(ひとりはバンドもやっている)、博識でユーモアもある方々だったので、すぐに仲良くなった。
アロダーリンが好きすぎて、MVをはりまくりたいところだけど、とりあえず1曲で我慢して本題へ。
そのうちのひとりと話していると、ことあるごとにHeavenlyの話が出てくるのでなんとなくひっかかっていたのだが、このあいだ、「来年刊行予定(まだ未確定のようですが)のSarah Recordsの歴史本の書評を書ける人っていないかねぇ?」なんてことをさらっと言っていたので、ちょっと驚いた。
関係者と知り合いなのだろうか? そこはまだ聞いていないので、こんど話す機会があったら聞いてみたいところだが、とにかく彼女はHeavenly、ひいてはSarah Recordsの大ファンで、アロダーリンのライブに来ていたのは、今考えれば大いにうなずけるところだった。
Sarah Recordsは1987年、ブリストルを拠点に活動したインディーレコードレーベルで、NMEが1986年に発売したコンピレーションLP「C86」の生み出した、ギターポップ、ネオアコムーブメントの中心もなったレーベル。(そのムーブメント自体を「C86」とも呼ぶので、少々わかりづらいが)
C86には、プライマルスクリームやスープドラゴンズ、ウェディングプレゼント、ショップアシスタンツ、そしてパステルズなどの当時の若手インディーズバンドの音源が収録され、一躍シーンに大きな活況をもたらした。
そしてその翌年、そんな流れに後押しされるように、サラレコードが設立される。
TFCやベルセバ、カメラオブスキュラなどのグラスゴー勢にも影響を与え、現代までたどれば、スランバーランドのバンドたちなどは、サラレコードから大きな影響を受け継いでいるように思う。ペインズとかね。
もちろん、サラレコードの重要バンドHeavenlyのVo.アメリアがいまも英レーベルFortuna Pop!でTender Trapというバンドをいまだに続けていること、そこにはアロダーリンも所属していることなど、脈々と流れるC86、そしてTwee Popと呼ばれるギターポップの一大系譜は続いている。
Heavenly、The Field Mice、Another Sunny Day、といったレーベルを代表するバンドや、アメリカのミュージシャンながらサラに所属したEast River Pipeなど、数多くのギターポップアーティストが在籍したことに加えて、「シングルリリースの多さ」もレーベルの特徴だった。
あの時代に、アルバムよりも7'中心のリリース戦略をとり、ファンジンと組み合わせて販売するなど、インディーキッズたちのコレクション魂をくすぐっていたのだから、それは濃いファンが多かったのもうなずける。
7', Sarah4のジンとヴァイナル |
まさにガールズアノラックバンドの王道を行くHeavenly。前身バンドTalulah Goshから変わらない、キラキラのギターに乗るアメリアの歌声がいまだに多くのファンを離さない。
Another Sunny Dayの名曲、スミスの影響を色濃く感じる、後半のたたみかけるギターリフ。
The Field MiceにはAnother Sunny Dayのハーヴィー・ウィリアムスも参加。
サラレコードへの影響を語れば、グラスゴーのポストカードレコード(Orange JuiceやAztec Cameraが在籍)やファクトリー、クリエイションの話が出てくるが、そこまでは話が大きすぎるので、いずれまた。
ちなみに、サラレコード解散後、ファウンダーの片割れであるマットは、メトロポリタンなるレーベルを設立したのだが、同名の音楽レーベルがすでにあったことから、名前を「Shinkansen Recordings」に改めているらしい。その由来を知ってる人がいたら教えてほしいです。