Posted by : A kind of Lo-Fi Jul 22, 2013



 失恋の痛みを音楽で癒す、などというと、それはなんともオールドスクールな、いや、もっと言えば、もはやおとぎ話に近い響きのストーリーに聞こえる。
が、それを地でやってしまったのが、ノースカロライナのローファイポップバンド、もしくは、フロントマンStuwart Mclambのソロプロジェクト(フルタイムのバンドメンバーは彼だけなのである)The Love languageである。
Big StarやGuided by Voicesからの影響、そしてWavvesやTimes New Vikingなどのローファイフォロワーたちとの共通点も指摘されていましたが、このファーストの音作りは徹底して低音質。そして、テーマは独白です。

デビュー作は、彼女に振られた傷心のスチュワートが、実家にこもってその元カノにあてて書いた数曲の楽曲で構成されています。
反省の弁を痛烈にエモーショナルかつナルシスティックに歌うピアノバラッドTwo rabbitsで幕を開ける。正直痛々しい。が、いい曲なのです。



で、痛々しいがいい曲というのはこの後も立て続けにポンポン飛び出します、未成年の少女とのイケナイ何かを歌ったんじゃないかとファンの間でひそひそ言われているLalita(ロリータと一字違い)とか、恋の始まりからケンカの様子、別れの決意をショートフィルム仕立てに歌ったSparxxxなど、延々とこの調子が続きます。どの曲も特徴的なのは、拒絶、終焉を歌っているのに、決して悲しいメロディではない点。ここにソングライターとしてのスチュワートの矜持が見受けられます。


その後Mergeに移籍し、2ndとなるLibrariesを出しますが、これも軽いプロデュースを現メンバーのひとりであるBJ Burtonに頼むくらいで、スチュワートがひとりで作り上げます。
やわらかなピアノと歌唱で入り、ストリングスセクションも混ぜるバラッドThis Blood is Our Own、1stのキャッチ―さを継承するHeart to Tellなど、こちらも名曲ぞろいで、もうこの数年、ずっと聴き続けている名盤2枚です。



で、ここでやっといつものごとく遅い本題なのですが、3年の沈黙を破って、このたび彼らの3rdアルバムとなるRuby Redがリリースされます。本国だと、明日かも。(Pandoraで全曲試聴なんかをやっているのですが、例によって日本ドメインはダメなのでリンクも貼りません。)
そして、公開されている2曲を聴くところでは、少しいままでとは違う要素を取り入れつつも、だんだんと落ち着いた音楽性にシフトしていっている印象を受けます。失恋の痛みで躁っぽく作ったアルバムから、ニュートラルになってきたのでしょうかね。。。 

Pilot Lightはブラスセクションとピアノ、おなじみのとろみがかったスチュのボーカルが耳を弾く
バラッド。



Calm Downはうねるベースにリードされるポップなトラックで、中盤から出てくるシンセの音とサイケなギターリフがいままでのThe Love Languageにはなかったタイプの楽曲です。うーん、これはなんか全体の雰囲気がどうなっているのか、楽しみだ。



という感じで、失恋に始まり、音楽の道の追求を始めたひとりの男の物語を、日本の片田舎からこれからも見守っていく予定です。というか、早くアルバムを聴きたいです。ちなみにこのアルバム、本当はもっと早く出す予定だったそうで、そのあたりの話とかもどこかがインタビューしてくれたら読みたいですー。

追記
そういえば、同郷(かな?)のバンド、Gross Ghostの曲のカバーとかもKEXPで披露していて、それがけっこうよかった。


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