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インディーロックについてゆるくまとめていきます。不定期更新。 This blog makes feature in the indie rock music from old to recent. Loosely update.
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Cuushe - Butterfly Case


 女性が美しいということはどういうことかを考えたとき、別に女子っぽければいいとかそういうわけではまったくなく、人間的に美しい女性であるかどうか、ということがポイントなのだと思います。
美しさの背景にきちんと背骨があり、意識が四方に行き届いているような。
多くの女性トラックメイカーやDJが、女子であることのみを意識しすぎるあまり、けっきょく越えられないその壁を、Cuusheは超えている気がします。彼女の音楽は美しく、それゆえに彼女は美しい。彼女が美しいから、彼女の音楽が美しいのではなく。

いや、ベルリン在住、日本人女性アーティストのCuusheのセカンドフルアルバム、Buttrfly Caseが噂にたがわぬ素晴らしさで、泣きながら聴いているのです。いや、嘘です。泣いてはいません。
衝撃度はJesse Ruinsを初めてGvsB経由で聴いて「え、この人日本人なの‽?」と感じたときと似たもので、まったく日本人の血が通っていない音作りです。(JRが駄目だったとかではまったくなく、あれはあれで素晴らしかったのですが、このCuusheの作品は曲がいいうえにプロダクションが素晴らしいのです。)
いわゆるシンセチルウェイブ~ドリームポップ、ウィスパーヴォーカル系なのですが、一聴した感じのトラックの作りが、どう考えても頭50個ぐらい突き抜けておりまして、よいエンジニアやプロデューサーがついているのだろう、などと勝手に想像しております。
(と思いましたが、レコーディングサポートはFlauのレーベルメイトのausとGeskiaだそうです。素晴らしいチームアップですね。)


ピッチフォークが、「始めのうちに聴こえる、霞のようなひそかなシンセのささやきが、最終的に花開いていく緻密な楽曲構造」と賛辞を送り、7.0をマークしたのは素晴らしいことだと思います。(でも、どうやらこれ寄稿しているライターさんはジャパンタイムスの音楽ライターさんのようなので、日本在住の方なら、日本の音楽風土性を考慮して、この稀有な存在の彼女にもう少し加点してあげたほうがよかったのでは!? と思いましたが、ピッチの点数の算出は複数のエディタによる平均点算出だったのを忘れていました。。。 なので、日本人インディーリスナー耳としては、8.5以上はつけていいだろうと思うと断言しておきます! お前偉そうに誰やねんというところですが。)

冒頭のSort of Lightも、I Dream About Silenceもよいですし、中盤の、ピアノ、ヴォーカルサンプリングレイヤーにギター、ビート、シンセが順に織り重なっていくI Love Youも素晴らしい。クロージングのHanabiが日本語詞なのも、もはやどうでもよく感じるほど心地よいアルバムでした。いい気分。
ツアー中みたいなので、行きたいです。夢ですが。

以下からアルバム全曲聴けます。ありがたや。

The Polyphonic Spree - Yes It's True



 The Polyphonic Spreeのじつに6年ぶりにもなるニューアルバムが素晴らしい。(じつは去年のホリデーシーズンにクリスマスコンピアルバムを出していたみたいですが、知りませんでした)

こちら、おなじみPitchfork Advanceにて試聴ができます。

音楽のポップサイドを、カルトな雰囲気をたっぷり漂わせながら歩く、混成合唱団バンド。正式な人数が何人なのかは、知らないし、そのときどきによって変わるので、知らなくてもいいと思います。
すべては、バンマスでありフロントマンでもあるTim DeLaughterにゆだねられています。最新のアー写真を見る限り、ティムは若きカルト団体のリーダーあら、ベテランカルト教祖へとクラスチェンジをしている感じですね。(一応現在教団員は22人編成とのStereogum情報あり)

一聴したところ、これまでのアルバムに通じる、大所帯バンドとクワイアーを従えていることによるダイナミズムは若干薄れた印象ですが、Arcade FireとThe Flaming Lipsのあいだを行き来するような、幽玄なシンフォニックポップは健在です。

Hold Yourself Upは、アルバムのハイライトとなる曲。オーボエかクラリネットのような木管楽器のイントロとはねるキーボードが印象的なアップチューン。


オープニングトラックのYou don't know meもストリームで公開されていました。


The Polyphonic Spreeといえば、2回の来日を観れたのは幸運でした。このときと、もう一回は屋内のステージで、Lithiumのカバーを演ってくれたとき、この2回は強烈に記憶に残っています。
彼らの多幸感あふれたシンフォニックビートでまた踊れる日が来るとうれしいなあ、などと考えながら冷えた黄桃を食べております。暑いです。






Elite Gymnastics resume a project under the new name "Default Genders"


※2013/08/07追記
以下のポストは発表時の名前、Dead Girlfriendsで書いてますが、同じ名前のバンドがいたらしく、本日の時点で名前がDefault Gendersに変わっていましたので、なんとなく追記しました。

 たまにはショートコラムを。
ミネアポリスのK-popラバーなエレクトロデュオ、Elite Gymnastics(いつの間にかひとり抜けてデュオじゃなくなってた)が、名前を変えてリスタートするようです。
残ったメンバーはJames Brooks、Grimesのクレアの彼氏。そして、彼のニュープロジェクトとなるこのDead GirlfriendsのEP、Stop Pretendingのカバーをクレアが描いているという。なんでしょう、このうまいのかうまくないのか形容しがたいセンス。とりあえず、エビ中のイメージイラストとかを描いてもらいつつ、曲も書いてほしいものです。ソニーの人、がんばれ。

このニュース、Stereogumが
死んだ彼女のカバーイラストを、生きてる彼女が描いてる――
と、記事を結んでいたので、どうにも笑ってしまいました。

ちなみにニューEPはbandcampで視聴もできるし買えます。



ところで、このカップルは、ふたりとも日本のアニメ、ゲームコンテンツをアート的にとらえてる節があり、そこが日本人からするとまあ、すごいダサいですよね(苦笑)。
グライムスのアルバムの変な日本語とか。(苦笑) Blood Diamondとのコラボトラックのカバーアートとかも、狙っているのかマジなのか、ちょっとわかりづらい部分があったのを感じたものです。でも曲がすごいいい曲。



あと、なんか彼のメンタルコンディションに一抹の不安を感じさせるようなこのリードトラックのビデオですが、「かわいくて痛々しい才能あるミュージシャンの彼女とかいるんですから、DSやめなさいよDS!」というつっこみが先行して、曲が入ってきません。あと、ルナとトトロの目が怖いです。
普段はふたりでポケモンの交換とかしてるのかな~? あ、どうでもいいですねw


日本に来る機会があれば、死んだ僕の彼女をサポートアクトに迎えて、全国を回るといいと思います。それか、ポケモンセンターでライブすればいいじゃない!

The Love Language - Ruby Red out soon!



 失恋の痛みを音楽で癒す、などというと、それはなんともオールドスクールな、いや、もっと言えば、もはやおとぎ話に近い響きのストーリーに聞こえる。
が、それを地でやってしまったのが、ノースカロライナのローファイポップバンド、もしくは、フロントマンStuwart Mclambのソロプロジェクト(フルタイムのバンドメンバーは彼だけなのである)The Love languageである。
Big StarやGuided by Voicesからの影響、そしてWavvesやTimes New Vikingなどのローファイフォロワーたちとの共通点も指摘されていましたが、このファーストの音作りは徹底して低音質。そして、テーマは独白です。

デビュー作は、彼女に振られた傷心のスチュワートが、実家にこもってその元カノにあてて書いた数曲の楽曲で構成されています。
反省の弁を痛烈にエモーショナルかつナルシスティックに歌うピアノバラッドTwo rabbitsで幕を開ける。正直痛々しい。が、いい曲なのです。



で、痛々しいがいい曲というのはこの後も立て続けにポンポン飛び出します、未成年の少女とのイケナイ何かを歌ったんじゃないかとファンの間でひそひそ言われているLalita(ロリータと一字違い)とか、恋の始まりからケンカの様子、別れの決意をショートフィルム仕立てに歌ったSparxxxなど、延々とこの調子が続きます。どの曲も特徴的なのは、拒絶、終焉を歌っているのに、決して悲しいメロディではない点。ここにソングライターとしてのスチュワートの矜持が見受けられます。


その後Mergeに移籍し、2ndとなるLibrariesを出しますが、これも軽いプロデュースを現メンバーのひとりであるBJ Burtonに頼むくらいで、スチュワートがひとりで作り上げます。
やわらかなピアノと歌唱で入り、ストリングスセクションも混ぜるバラッドThis Blood is Our Own、1stのキャッチ―さを継承するHeart to Tellなど、こちらも名曲ぞろいで、もうこの数年、ずっと聴き続けている名盤2枚です。



で、ここでやっといつものごとく遅い本題なのですが、3年の沈黙を破って、このたび彼らの3rdアルバムとなるRuby Redがリリースされます。本国だと、明日かも。(Pandoraで全曲試聴なんかをやっているのですが、例によって日本ドメインはダメなのでリンクも貼りません。)
そして、公開されている2曲を聴くところでは、少しいままでとは違う要素を取り入れつつも、だんだんと落ち着いた音楽性にシフトしていっている印象を受けます。失恋の痛みで躁っぽく作ったアルバムから、ニュートラルになってきたのでしょうかね。。。 

Pilot Lightはブラスセクションとピアノ、おなじみのとろみがかったスチュのボーカルが耳を弾く
バラッド。



Calm Downはうねるベースにリードされるポップなトラックで、中盤から出てくるシンセの音とサイケなギターリフがいままでのThe Love Languageにはなかったタイプの楽曲です。うーん、これはなんか全体の雰囲気がどうなっているのか、楽しみだ。



という感じで、失恋に始まり、音楽の道の追求を始めたひとりの男の物語を、日本の片田舎からこれからも見守っていく予定です。というか、早くアルバムを聴きたいです。ちなみにこのアルバム、本当はもっと早く出す予定だったそうで、そのあたりの話とかもどこかがインタビューしてくれたら読みたいですー。

追記
そういえば、同郷(かな?)のバンド、Gross Ghostの曲のカバーとかもKEXPで披露していて、それがけっこうよかった。


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An experiment of Indie Rock Sales - TV Girl


 
 サンディエゴのチルウェイブ・バブルガムポッパーのTV Girlが先月リリースした3枚目のEP「Lonley Woman」についての売り上げ報告をブログで行っていた。3枚目にして、初めてEPを売る(先の2枚はフリーで配信していた)ことを決断したのは、彼ら自身が、いま音楽を売るということはどういうことなのかを実験したかったからだと述べています。全文はこちら



彼らは自分たちで音楽をやりながら、同時にこうも思っているようです。「いま実際に音楽に金を払うメリットは、アーティストたちに対しての補償ってことぐらいなんだろうけど、そんなあいまいな概念は、自分の預金残高を前にしたら一瞬で砕け散るよな。音楽をフリーでダウンロードするほうが、時間もお金も、手間もかからないのに、誰が音楽を買うんだよ。」と。

また、自分の全音楽消費の中で、対価を払って得ているのは20分の1くらいの割合で、ほかはダウンロードやストリーミング(Spotify含む)、ラジオなど、お金のかからない音楽の楽しみ方がほぼ全部を占めるとも語っている。自分がお金を払ってでも入手する際は、すでにかなりのファンであるようなアーティストで、そのアーティストを支援したいと思えるような人たちに限られるそうです。

この気持ちは非常にわかります。いまや、音楽に対価を払うという行為は、「その音楽を聴く」という目的の達成のために払われるわけではない。フィジカルなプロダクトとしてコレクションしたいのか、どうしてもiPodに入れて持ち歩きたいのか、アーティストに次の作品を期待するか、そういった様々なフローを乗り越えた場合に限り、やっと財布に手がたどり着く。これは現実に、私自身にも起きているのです。



それに、音楽産業の衰退とは反比例して、音楽自体は増える一方。音楽を作る、そして発表する手段の簡略化は、当事者や好事家にとっては好都合ですが、一般消費者にとってはただの複雑化。自分で自分の好きな音楽を選ぼうにも、もはや広大な音楽の海に、どこから足を踏み入れていいか見当もつかないし、泳ぎ方をそもそも知りません。 そして、そんな一般消費者をメインの購買層としなければならない産業側からしたら、これはもはや詰んでいる状態なのでしょう。お金を使うのは、数パーセントに満たないコアな音楽ファンだけなのですから。
※日本のおまけCD産業について言及しているわけではありませんので、あしからず。

ただそれでも彼らはこう主張します。「違法ダウンロードはやっぱりおかしい。自分たちは、bandcampのように、アーティストに直接お金を支払えるシステムを好む。トレントを使うのはフリーで、その際アーティストにまったくお金が払われないことがおかしいのはもちろん、トレント側こそ、たいした努力もなく、本来アーティストが得るべき利益を代わりに得ている。それは間違っているんだ」と。

そして、じつはここからが本題なのですが、TV Girlは、デジタルDL、カセット、Tシャツ(DLコード付き)、ストリーミングなど、それぞれの音源販売方法のメリットとデメリット、利益などを具体的に検証して、感想を書いています。

詳しく書き出すとかなり長くなるので詳細は参照元を見ていただきたいのですが、要約するとだいたい感想はこうです。

DL販売
・Bandcamp最高
・iTunesはダメ。マージン取りすぎ、登録も煩雑
・その他のAmazonDLなどについてはまだ結果が出てない
カセット販売
・制作数制限とかいろいろあって、まあ考え方次第かな
Tシャツ販売
・これはふつうにおすすめ、売る側にも買う側にとっても
ストリーミングサービス
・Spotifyで5000回ぐらい聴かれてたけど、なんか50セントくらいもらえそうでうれしいわー(棒)

今回の検証にレコード、もしくはCDが入っていない(収録曲数の関係で断念したそうです)のが残念ですが、概ね実験結果はこんな感じで、結論としては、Bandcampはいい。そして、Tシャツとのセット販売はマジいい感じ、という報告でレポートは締められています。

金額などをさらしたうえで書かれていますので、細かい内情も知ることができためになった反面、金額の多寡やバンドとしての規模など、インディー文化が盛んなLAといえども収支はこれぐらいなのか、、、という感想もあります。ただ、見方を変えれば、これくらいの規模でも、やり方次第で継続的な週末ヒロインならぬ週末バンドを運営していくことは可能だというサンプルにもなっていますので、興味を持たれた方は元ポストを読んでみてはいかがでしょうか。

というわけで、最後にLonely Womanのプレイヤーを貼っておきます。夏にぴったりな、ゆる系ローファイポップです。気に入った方はぜひ買われてみては?




ちなみに、前段と後段で時間をおいて書いているうえに推敲とかしていませんが、日記なのでご容赦を~。



Hebronix - ダニエルくんの憂鬱

突然の酷暑に体が慣れない。とくに、この日本のうだるような湿度の暑さを体感するのはまるまる2年ぶりで、体が熱の排出法を忘れているらしく、汗があまり出ない。困った。けっこう汗はダラダラかくタイプで、少しジョギングすればシャツは絞れるほどだったのになぁ。。。

という、なんとも居心地の悪い夕暮れに、なぜかHebronixはけっこうしっくりきました。早くも下半期のベスト候補ですか。

YuckからDaniel Blumbergが脱退すると聞いたときは、「どこへ行こうとしているのだ、この兄ちゃんは。。。」と思ったものですが、こんな地平に降り立とうとは。成熟なのか、早すぎる老成なのか、聞けば、彼はまだ23歳だそうです。

Danielの新プロジェクトHebronixのアルバム、UnrealはATP Recordingからリリースされます。現在Pitchfork Advanceにて、多分明日まで試聴できるようです。

先行で、ラース・フォン・トリアー監督の次回作「ニンフォマニアック」に出演する謎のモデル件女優のStacy Martinをフィーチャーしたビデオも公開されてました。



アルバムは、アカペラの唄声から始まる10分超のロングトラックで幕を開けます。曲はギターとヘロヘロなキーボードに鳴りもの、サンプラーが交じり、徐々にスローな展開にシフト。この曲展開はアルバム全体にわりと共通していて、歌唱よりもギターソロのパートが多く、長い尺の曲が多いのが特徴。ちなみにアルバムは全6曲、40分超。 韻は踏んでません。

本作について海外メディアのインタビューを読んだところ、灰野敬二からの多大な影響を公言していたので驚きました。確かにノイジーなリフが多いですが、ゆったりとしたピアノもおなじくらいの頻度で入ってくるため、決して聴き苦しくなく、むしろ心地よい。
音の作りは、プロデューサーを務める Neil Hagertyの力によるところもあるのでしょう。彼は90年代に活躍したオルタナ・ノイズバンドRoyal Truxのフロントマンだとのことです。



また、先に述べた海外インタビュー、「レコードを売るためにツアーして世界を飛び回るのはもううんざり」とか、「いつも、けっこういいレコードを作ったってリリースした後は思うんだけど、そのちょっと後になったら、クソ、やっぱこれ思ってたのと違う! って思うんだよなぁ…」みたいな赤裸々な話が多く「全体的に自分でもよくわかっていないんだ」という本音の部分を聞き出していておもしろいです。
15歳ではじめて組んだバンドがいきなりメジャー契約、マーキュリーにノミネートとか、まあそんな経歴を歩んで来れば、いろいろあるのだろう。凡人の私には彼の苦悩はわからないが、天才の彼にもそれはわからないとのことだ。それを持て余しながらも、絵を、作曲をやめないのだから、やっぱり彼は天才なのだろう。支持します。Yuck、私すごく好きでしたので。でも、こっちのが好きかも。

にしてもです、去年の夏にフェスで見た彼は、若き日のディランに生き写しで、すばらしいシューゲイズポップを気だるげに弾いていたのですが、夕日を浴びながら歌う姿はそれはそれで様になっていました。

それがいつのまにか、こんな感じの相貌になり……


日々こんなことしてるなんて、、、ちょっと彼の生活がウラヤマ心配です。



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-Don't Overlook Artist 2- Waxahatchee



 Waxahatchee、耳慣れないこの名前は、彼女の両親が住むアラバマを流れる川の名前から取られている。

Cerulean Saltは、WaxahatcheeことSSWのKatie Crutchfieldのソロプロジェクトの2ndアルバム。昨年発表された1stのAmerican Weekendは完全に宅録音響で録音された、アコギ主体のローファイドリームポップ。ゆるゆると吹くそよ風のようなアルバムでしたが、自分も含め多くの好事家からはスルーされていたようです。



ケイティは、双子の姉妹Alisonと一緒に在籍していたポップパンクバンドP.S. Eliotなどを経て、ソロに転向。ちなみに現在、そのアリソンは昨年プチブレイクした今後が楽しみなパンク・パワーポップバンドSwearin'のメンバーです。(ケイティの彼のキースもSwearinでベースを担当)ビキニ・キルやラモーンズを愛し、ひたすらパンクに打ち込む青春を送ったケイティの行先は、Rilo Kileyとの出会いによって、次第にフォークポップの道へといざなわれていったようです。
それも、徹底的に他者の存在を排し、ひたすらパーソナルな詩を紡ぐことにフォーカスすることがテーマだと彼女は語っています。


冬の間にレコーディングされたためか、全体的に硬質でシンプリファイドされていた前作とは違い、本作はCoast to Coast等のポップソングを始め、色どりが増した構成になっています。宅録ではなく、バンドを入れて録音されたため、音も曲調も全体的に引き締まっていますね。
長くて3分、短ければ1分台のフォークポップ全13曲33分。遠くアラバマ湖畔の小川に短いトリップをさせてくれる、良盤です。



小さなころと大人になってからの、周囲の人たちとの関係性の違いを歌う、You're Damaged。




アルバムはどちらもNYのパンクインディーレーベルDon Giovanni Recordsからリリースされています。このレーベル、ほかにもVacation、Shellsnag、Laura Stevensonなど、いい感じのアーティストが多いので、私的に要注目です。




ところで、冒頭の写真の犬は、ちょっと大きすぎではないでしょうか。。。

-Don't Overlook Artist- Torres



「二度はねえぞ、二度は」

という女の情念に秘めた冷たい狂気をエモーショナルに歌い上げるナッシュヴィル出身、22歳のSSW、Torresことマッケンジー・スコット。

Torresはまたも上半期ベストに入れなかったことを痛切に後悔しているアーティスト。
聴きのがし厳禁ということで、ここで取り上げておきます。正直、いまの気分でいくと、Foxygenと並ぶクラスです。もう、素晴らしいの一言。

Honeyは、セルフタイトルのデビューアルバムTorresを代表する一曲。ノイズディストーション、太くシンプルなベースラインとドラム、ざらついた、でも伸びのある歌唱。上ずり、そして急く何かを抑えようとしているけど、それでもそれはあふれ出てしまい、ビートはほんのわずかだが、ゆっくりと加速していく。


ディストーショナルな部分はEMAを、その奥から主張するエモーショナルな歌はPJ Harveyを彷彿とさせる。フィメールSSWの系譜としては、本人はSt.VincentやSharron Van Ettenもフェイバリットに挙げている。



アルバムの最後を飾る曲、Waterfallも素晴らしい。滝の上から、滝つぼにむき出しになった岩肌をのぞき、明日の朝になれば、私は自由になれるだろうか? と問いかける、ダークでスローなピアノバラッド。


ちょっと見た目がタレントのシェリーに似てるのはご愛嬌ということで。

Merge RecordsのDIYストーリー from Billboard Mag



 BillboardがMerge RecorsとSuperchunkの(もうすぐ)25年になろうとする歴史を振り返るコラムを掲載しています。ビルボードのDIY特集の中のワンパートのようですが、これがわりとおもしろかったので紹介します。元記事はこちら


記事は、マック(SuperchunkのVo.件レーベルオーナー)とローラ(Superchunkのベーシスト件レーベルオーナー、現在は耳の治療のためにバンド活動から離れている)へのインタビューを織り交ぜながら、歴史を振り返っていくものです。
冒頭、ライターは彼らを称して「彼らは、インディー音楽業界という先のまったくわからない不安定な場所の先端で、そこに光を探しててきた」と始まっています。

時は1989年、Superchunkの7'を売るために、ローラのアパートでDIYにレコードをプレスし始めたことでMerge Recordsがスタートします。若き日の彼らは、つぎのレコードのために今日のレコードを売る、いわゆる自転車操業の日々を送ったそうです。
インタビュアーはここで、彼らのリレーションシップ(マックとローラは当時付き合っていたが、このころ別れている)につっこみを入れ、暗に「ふつうバンド内で別れたらレーベルとかバンドってやめませんか?」と聞いています。
それに対し彼らは、「バンドにはバンドの、レーベルにはレーベルのそれぞれの価値がすでにあった。そして、僕らはそれがわからないほど直情的な性格ではなかったんだ」と答えています。

サーストンとキムも同じ気持ちだったのだろうか、ある瞬間までは、、、などと余計なことを考えながら、このレーベル初期に、彼らがバンドとしてもレーベルとしても希望とビジョンを持って活動をしていたことがうかがえる、含蓄のあるひと言だと思いました。

その後、時代はCDが主流になり、同時にMagnetic FieldsやNeutral Milk Hotelがヒット。レーベルは次第に大きくなり、自社ビルを持つほどに。Mergeの初めての大ヒットは、1999年のMagnetic Fieldsの69 Love Songsだそうです。(69では個人的には2枚目が好き。ちなみに、その前年のNMHのIn the Aeroplane Over the Seaもヒット作ですが。)





記事中は、Touch and Goにディストリビューションを委託していた話、Mergeの屋台骨を支える、デキる男、GMのSpott氏の話など、いろいろビジネス面の話も多くなっています。詳細はぜひビルボードの記事にて。

ちなみに、2013年6月16日づけのアメリカのレコード市場シェアの話があります。それによると、インディーレコードレーベルでもっともシェアが大きいのは、PhoenixやMomford & Sonsを要するGlassnote Recordsで1.96%。対してMergeは0.19%でSub Popは0.15%だとのこと。短期のチャートのようなので、そのタイミングのリリース数で上下するのでしょうが(最近は、Mikal, Bible, Eleanorなど、リリースが多かった)、Sub Popを上回っているのはすごいと言えるでしょう。
ですが、この数字の小ささからは、全市場規模のいいところ5%程度のパイをインディーレコードレーベルが奪い合っているのが推察できます。経営に関しては、インディー大国アメリカといえど、やはりリスクが付きまとっているようです。日本とはユーザー数の分母が違うので、数字のリアルさ、深刻さはちょっと測りかねる気がしますが。
とまれ、思うことは、自分は全音楽リリースの5%でひしめく数多くの作品を聴きまくることにのみ時間を注いでおり(それでもすべては聴けていない)、残りの95%のヒットチャート音楽はほぼ無視を決め込んでいるのだから、これはこれで、音楽が好きです、などと言っていていいのやら悪いのやら、頭が痛い話ではあると思いました。

話が大きくそれました。。。

そして2004年、Arcade Fireの「Funeral」が世界中で話題を呼び、レーベルは一気に軌道に乗ります。まさか、後にグラミーやビルボードチャートのトップを獲るアーティストがMergeから出るとは、このときは誰も予想はしていなかったでしょう。



もちろん、ほかにも多数の素晴らしいアーティストがMergeには在籍しています。
She & Him、Wild Flags、The Mountain Goats、そしてSpoonも。
Spoonのフロントマン、ブリット・ダニエルは、「誰も僕らに声をかけてくれなかったとき、Mergeだけが僕らとやりたいと言ってくれた。そのことだけが大事だ。」と言っています。

この話から伺えるのが、Mergeの魅力は、所属アーティストのバラエティの豊かさに加え、売れている、いないに関わらず、お互いの音楽をリスペクトしあっているところだと感じます。それがリリース作品や、レーベルの雰囲気からも伝わってきますね。
この後、インタビューは、どうやって新人との契約を決めるのか、というあたりにも及んでいます。サンプル盤をスタッフのみならず、信頼できる知人にまで聴かせて、感想を求め、誰か一人でも音が刺さる人がいれば、そこから考えて結論を出すそうです。こうして昨年から、HospitalityやMikal Cronin、SugarのBob Mouldまで、新たな契約をMergeと結んだアーティストたちがレコードを出しています。ここで少し動画を貼っておきます。





Mergeのさらなる歴史は、この本「Our Noise The Story of Merge Records」が詳しいでしょう。読みたいと思いながらまだ読めていないので、これは近いうちに手に入れたいと思います。

最後に、マックは来る8月発売の新作「I Hate Music」についてこう述べています。
「新作は、前作のMajesty Shreddingとはかなり違うものになる。前作は、音楽とノスタルジアについて書いた曲が多かったけど、今回はもう少し慎重にならないといけないような場所から得たものを扱っているんだ。もしテーマが老いることとかだったら、みんな敬遠するだろうから、ちょっとそうは言いたくないんだけどね……。ほかにも、喪失や死、友人や、生活の中にの音楽の役割いついてとかね。」
以前のニュースなどによれば、テーマはさまざまなものに対する愛とのことですが、かなり意味深な発言ですね。
楽曲軍的にもどんな構成になるのかいまから楽しみですが、それまでひとまずは、公開されているリードトラックのFOH(Front of the House)を聴いて気分を高めましょう。



 という感じで、ただの記事紹介がわりと長くなってしまいました。
ちなみに今回のポスト、本当はフライドバーガー妹こと、俺の妹がこんなにいいSSWなわけがないa.k.a.Eleanor Friedbergerの新譜「Personal Record」を上半期ベストに入れ忘れてしまっていたので、そのことを書こうと思っていたのです。それが、巡り巡ってこんな感じになってしまいました。なので、ここで一応Personal recordは、前作のLast Summerでは抑えめだったソングライティングのバリエーションが開花した、素晴らしいアルバムであると言っておきましょう。現代のPatti Smithか、Joni MItchelか。まだまだ育つ、女35歳。来日も希望してます。(メルボルンのライブに、まさかギター一本抱えて、ひとりで来るとは思いませんでしたよ。フライドバーガーさん。)

ちなみに先日公開された、ニューアルバムの中の一曲She's a Mirrorをフィーチャーしたショートフィルムは、鏡の中から語りかけてくる"彼女"(もうひとりの自分?)に焦点をあてた、メタ的サイコホラーちっくな仕上がりになっています。こちらもぜひ注目です。
(貼り付けが許可されていないので、リンク先で観られます)

Spotifyが日本に……くる?



黒船音楽配信サービス「Spotify」日本上陸へ 音楽産業の鎖国を解くか



こんなニュースが届いていましたので、少し思うところを語りたいと思います。
以下の感想は、洋楽、日本における洋楽産業そして洋楽国内盤に関する予測です。

これが本当なら、音楽業界は完全な利益構造の再編(もしくは縮小)を求められるでしょう。

去年1年、Spotifyを使った感想を言うと、これはもちろん洋楽に限られる話ではありますが、もはやCDを買う必要を一生感じなくなるユーザーが大半を占めるとのではないか、というものでした。これは、使えばわかってもらえると思います。

極端な意見に聞こえるかもしれませんが、CDはコレクターズアイテムか、おまけ商法以外は成り立たない産業に成り下がってしまうはずです。

とくに、輸入盤との価格差と価値のギャップによって売り上げが伸び悩み続けている、洋楽の国内盤販売は打撃を受けるでしょう。
(私自信は、洋楽国内盤販売会社や、ツアーをマネジメントしているレーベルの活動は大変意義があることで、応援したいと思っていますが。。。)


それでは、以下にSpotifyの優れた点を挙げたいと思います。

・本当に豊富な楽曲ラインアップ
・ストリーミングの軽さ、快適さ
・新曲、新譜もタイムラグなく配信

この3つです。
とくに、ライブラリの豊富さが決定的だと感じました。その昔、Napsterにお金を払っていたときがあったのですが、すぐにやめてしまいました。それは単純に、聴きたいと思った曲が聴けないことが多かったからです。しかし、Spotifyは違いました。

音楽好きならば、PCで音楽を聴いているとき、あるバンドの曲を聴いていたら関連する違うバンドの曲が聴きたくなる、というようなことがよく起こると思います。

そんなとき、そのバンドやアーティストがどんな時代の、どんなレーベルのバンドだろうが(とまでは言いすぎですが、実際に使えば過言ではないとわかってもらえると思います)検索できます。中にはブートレグ盤すらアーカイブされているアーティストもいたぐらいでした。(どのバンドだったかは失念)
ちなみに、そのリレイティブアーティストはSpotify側からの予測提案機能もあるので、そういった音楽史の縦横のリンクを、Spotifyを通じて辿る楽しみもあります。

いまSpotifyにログインして具体例を挙げられればいいのですが、日本のドメインからはアプリ自体を起動できないのが残念です。

ちなみに例として、私の音楽消費量は、たとえばCDで、インディーロックを中心に年間150~200枚ほどは購入する、といった具合の聴き方を10年以上続けています。(もちろんここ数年はDLやストリーミングで済ます比重がかなり増えてはいますが)
なので、上記の例は、そこそこの洋楽好きからそこまで能動的には洋楽を聴かないであろう一般の人のニーズまでは当てはまっていると思います。

聴きたいときに聴きたい曲をストレスなく、しかも無料で聴く、ディグることができる至福は禁断の果実でした。(私の場合、合わせてCDも買っているので、課金はしませんでした)
いま、完全な禁断症状というか、一度できたことができなくなてしまったストレスに、悶々とした思いが消えない日々を送っている私にとって、このニュースは朗報以外の何物でもありません。

現状、取材ソースが明かされていない経済誌の一記事なので、信ぴょう性に関しては良くて5分だとは承知しているのですが、これはぜひ実現してほしいと思っています。

産業構造は変わると思いますが、結果として、よい意味での音楽のグローバル化、洋楽への関心アップや邦楽の輸出促進へのワンステップになるなど、音楽業界を盛り立てるトリガーとなる可能性も秘めているSpotify。ぜひ続く吉報を待ちたいと思います。

MGMTの帰還



 3枚目のアルバムが9月発売決定ということで、いまから楽しみです。

1stの予期せぬ世界的ヒットと、それによる注目度の高まりのもとで作成され、あまりいい評価をされたとは言えない2nd。あのパンクよりの音へのシフトチェンジから、彼ららしいシンセサイケに戻ってきているレコードストアデイでリリースされたAlien Daysを聴く限りでは、期待できそうです。
レイドバックした緩いビートが、MGMTの不在を埋めていたYouth Lagoonにもシンクロしますね。


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イズ クラシシスト デッド? - Nude Beach



 Nude Beachのニューシングルが公開されていました。今夏にニューアルバムを期待していたのですが、ツアーに出るらしく、それは期待薄かな。


自主制作盤「II」を昨年の夏にブルックリンのアワーミュージックからリイシューして話題になったパンクバンドNude Beach。もう、完全にこの手のクラシックパンクは大好物だけど、人によってはただの古臭い音楽にしか聞こえないかもしれない。そりゃあ、彼らはBruce SpringsteenやTom Petty、Replacements、その他クラシックなパンクマテリアルからの影響を公言しててそこには新しさなんかみじんもない。ReplacementsがStonesやJohnny Thunders, Ramonesから影響を受けてパンクをやっていたように、ルーツをたどれば時代はどんどん逆行していく。

しかしながら、音楽にはどうしても新しさは必要だろうか? 彼らは自主盤カセットとLPをライブヴェニューだけで500枚売ったことで注目され、フックアップされた。(サウンドクラウドにのせた音源が、ネットを通じてバズったわけではない) その現象にも新しさはないが、ブルックリンの真ん中でそんな価値観がまだ存在することは、これまたべつにおかしいことではないのだ。
音楽を愛する人々は、イノベイティブな価値観と同じくらいエヴァ―グリーンな価値観も持っている。あの音は古いとか、新しいものじゃなきゃ認めないとか(その逆の話も)、ここにそういう話はいらない。

わかりやすいメロディにのせてわかりやすい歌詞を汗だくで歌うバンド。狭いシェアハウスでビアタブ持ち込んでパーティーして、ルーフトップで花火して、この程度のことが最高に楽しかったりするんですよ、案外。




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サンフランシスコ発、南半球経由ローファイポップ - The Mantles

 

 今週Slumberlandから2ndアルバムをリリースしたThe Mantles。マントルズはサンフランシスコの4人組ローファイガレージポップバンドで、セルフタイトルのアルバムで2010年にデビュー。本作Long enough to leaveは、60'sガレージサウンドにインスパイアされた、バラエティ豊かな楽曲がそろっている。

さらに、特筆すべきは、ニュージーランドのレーベルFlying Nun Recordsからの多大な影響をバンドが公言していることで、The Cleanのみならず、The VerlainesやThe Doublehappysなどのバンドをフェイバリットに挙げています。



Flying Nunについてはまたいつか書きたいと思っていますが、ひとまずは、晴れた休日の午後にぴったりなThe Mantlesをぜひ。R.E.MやReal Estateにも通ずる軽やかなギターリフと、それに乗った鍵盤のメロが爽やかです。 曲調に反して、Brown Baloonsの歌詞などは、ナードな青年の懊悩という感じですけどね。




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