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インディーロックについてゆるくまとめていきます。不定期更新。 This blog makes feature in the indie rock music from old to recent. Loosely update.
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Archive for June 2013

しゃち・ほこ・どこ・SOKO!



 タイトルの意味が分からない人は、こちらのリンクでも踏んで、今後名古屋を、いや新首都をしょって立つであろう6匹の金シャチに目を奪われてください。

というわけで本題。
フランス出身のSSWであり女優、SokoちゃんのニュービデオMonster Loveが到着。

Sokoちゃんといえば、
「あんたさ、あたしに電話する電話するって調子いーことばっか言っといて、なに金髪の女とデートしてんの。あたし、あの女ヤっちゃうかもしれないよ……マジで。」
という乙女のエモーションを歌ったI'll Kill Herが話題になり、同曲はCee Lo Greenがサンプリングした上にこのセリフを言われてる当の男になりきってラップする同名トラックまで制作されてますね。

今回のビデオも、アンビエントポップをバックに、モンスターに生まれた男女の悲しき出会い?を描いてます。。。

とりあえず、何も考えず観ていただき、気に入らなかったらそっとじでお願いいたします。


Soko: Monster Love on Nowness.com.


ついでにオリジナルとCee LoバージョンのI'll Kill Herも。



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Spotifyが日本に……くる?



黒船音楽配信サービス「Spotify」日本上陸へ 音楽産業の鎖国を解くか



こんなニュースが届いていましたので、少し思うところを語りたいと思います。
以下の感想は、洋楽、日本における洋楽産業そして洋楽国内盤に関する予測です。

これが本当なら、音楽業界は完全な利益構造の再編(もしくは縮小)を求められるでしょう。

去年1年、Spotifyを使った感想を言うと、これはもちろん洋楽に限られる話ではありますが、もはやCDを買う必要を一生感じなくなるユーザーが大半を占めるとのではないか、というものでした。これは、使えばわかってもらえると思います。

極端な意見に聞こえるかもしれませんが、CDはコレクターズアイテムか、おまけ商法以外は成り立たない産業に成り下がってしまうはずです。

とくに、輸入盤との価格差と価値のギャップによって売り上げが伸び悩み続けている、洋楽の国内盤販売は打撃を受けるでしょう。
(私自信は、洋楽国内盤販売会社や、ツアーをマネジメントしているレーベルの活動は大変意義があることで、応援したいと思っていますが。。。)


それでは、以下にSpotifyの優れた点を挙げたいと思います。

・本当に豊富な楽曲ラインアップ
・ストリーミングの軽さ、快適さ
・新曲、新譜もタイムラグなく配信

この3つです。
とくに、ライブラリの豊富さが決定的だと感じました。その昔、Napsterにお金を払っていたときがあったのですが、すぐにやめてしまいました。それは単純に、聴きたいと思った曲が聴けないことが多かったからです。しかし、Spotifyは違いました。

音楽好きならば、PCで音楽を聴いているとき、あるバンドの曲を聴いていたら関連する違うバンドの曲が聴きたくなる、というようなことがよく起こると思います。

そんなとき、そのバンドやアーティストがどんな時代の、どんなレーベルのバンドだろうが(とまでは言いすぎですが、実際に使えば過言ではないとわかってもらえると思います)検索できます。中にはブートレグ盤すらアーカイブされているアーティストもいたぐらいでした。(どのバンドだったかは失念)
ちなみに、そのリレイティブアーティストはSpotify側からの予測提案機能もあるので、そういった音楽史の縦横のリンクを、Spotifyを通じて辿る楽しみもあります。

いまSpotifyにログインして具体例を挙げられればいいのですが、日本のドメインからはアプリ自体を起動できないのが残念です。

ちなみに例として、私の音楽消費量は、たとえばCDで、インディーロックを中心に年間150~200枚ほどは購入する、といった具合の聴き方を10年以上続けています。(もちろんここ数年はDLやストリーミングで済ます比重がかなり増えてはいますが)
なので、上記の例は、そこそこの洋楽好きからそこまで能動的には洋楽を聴かないであろう一般の人のニーズまでは当てはまっていると思います。

聴きたいときに聴きたい曲をストレスなく、しかも無料で聴く、ディグることができる至福は禁断の果実でした。(私の場合、合わせてCDも買っているので、課金はしませんでした)
いま、完全な禁断症状というか、一度できたことができなくなてしまったストレスに、悶々とした思いが消えない日々を送っている私にとって、このニュースは朗報以外の何物でもありません。

現状、取材ソースが明かされていない経済誌の一記事なので、信ぴょう性に関しては良くて5分だとは承知しているのですが、これはぜひ実現してほしいと思っています。

産業構造は変わると思いますが、結果として、よい意味での音楽のグローバル化、洋楽への関心アップや邦楽の輸出促進へのワンステップになるなど、音楽業界を盛り立てるトリガーとなる可能性も秘めているSpotify。ぜひ続く吉報を待ちたいと思います。

Sarah Recordsアディクション

 

 
 昨年、メルボルンのToteというヴェニューで、オーストラリア出身、現ロンドンをベースに活動しているバンド、Allo Darlin'のショーがあった。
そもそも、異国の地で、しかもインディーロックバンドのショーで、日本人がステージ前方で楽しげに踊ってる(私です)姿がけっこう珍しかったらしく、現地在住の日本人のお姉さんがたに終演後に声をかけられた。
ふたりとも現地の人と結婚していたり、ヴィーガンだったりとおもしろいライフスタイルの人たちで、何より音楽の趣味が近く(ひとりはバンドもやっている)、博識でユーモアもある方々だったので、すぐに仲良くなった。



アロダーリンが好きすぎて、MVをはりまくりたいところだけど、とりあえず1曲で我慢して本題へ。

そのうちのひとりと話していると、ことあるごとにHeavenlyの話が出てくるのでなんとなくひっかかっていたのだが、このあいだ、「来年刊行予定(まだ未確定のようですが)のSarah Recordsの歴史本の書評を書ける人っていないかねぇ?」なんてことをさらっと言っていたので、ちょっと驚いた。

関係者と知り合いなのだろうか? そこはまだ聞いていないので、こんど話す機会があったら聞いてみたいところだが、とにかく彼女はHeavenly、ひいてはSarah Recordsの大ファンで、アロダーリンのライブに来ていたのは、今考えれば大いにうなずけるところだった。


Sarah Recordsは1987年、ブリストルを拠点に活動したインディーレコードレーベルで、NMEが1986年に発売したコンピレーションLP「C86」の生み出した、ギターポップ、ネオアコムーブメントの中心もなったレーベル。(そのムーブメント自体を「C86」とも呼ぶので、少々わかりづらいが)

C86には、プライマルスクリームやスープドラゴンズ、ウェディングプレゼント、ショップアシスタンツ、そしてパステルズなどの当時の若手インディーズバンドの音源が収録され、一躍シーンに大きな活況をもたらした。

そしてその翌年、そんな流れに後押しされるように、サラレコードが設立される。

TFCやベルセバ、カメラオブスキュラなどのグラスゴー勢にも影響を与え、現代までたどれば、スランバーランドのバンドたちなどは、サラレコードから大きな影響を受け継いでいるように思う。ペインズとかね。

もちろん、サラレコードの重要バンドHeavenlyのVo.アメリアがいまも英レーベルFortuna Pop!でTender Trapというバンドをいまだに続けていること、そこにはアロダーリンも所属していることなど、脈々と流れるC86、そしてTwee Popと呼ばれるギターポップの一大系譜は続いている。

Heavenly、The Field Mice、Another Sunny Day、といったレーベルを代表するバンドや、アメリカのミュージシャンながらサラに所属したEast River Pipeなど、数多くのギターポップアーティストが在籍したことに加えて、「シングルリリースの多さ」もレーベルの特徴だった。

あの時代に、アルバムよりも7'中心のリリース戦略をとり、ファンジンと組み合わせて販売するなど、インディーキッズたちのコレクション魂をくすぐっていたのだから、それは濃いファンが多かったのもうなずける。

7', Sarah4のジンとヴァイナル
いくつか、MVを貼っていきます。
まさにガールズアノラックバンドの王道を行くHeavenly。前身バンドTalulah Goshから変わらない、キラキラのギターに乗るアメリアの歌声がいまだに多くのファンを離さない。





Another Sunny Dayの名曲、スミスの影響を色濃く感じる、後半のたたみかけるギターリフ。


The Field MiceにはAnother Sunny Dayのハーヴィー・ウィリアムスも参加。



サラレコードへの影響を語れば、グラスゴーのポストカードレコード(Orange JuiceやAztec Cameraが在籍)やファクトリー、クリエイションの話が出てくるが、そこまでは話が大きすぎるので、いずれまた。

ちなみに、サラレコード解散後、ファウンダーの片割れであるマットは、メトロポリタンなるレーベルを設立したのだが、同名の音楽レーベルがすでにあったことから、名前を「Shinkansen Recordings」に改めているらしい。その由来を知ってる人がいたら教えてほしいです。

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MGMTの帰還



 3枚目のアルバムが9月発売決定ということで、いまから楽しみです。

1stの予期せぬ世界的ヒットと、それによる注目度の高まりのもとで作成され、あまりいい評価をされたとは言えない2nd。あのパンクよりの音へのシフトチェンジから、彼ららしいシンセサイケに戻ってきているレコードストアデイでリリースされたAlien Daysを聴く限りでは、期待できそうです。
レイドバックした緩いビートが、MGMTの不在を埋めていたYouth Lagoonにもシンクロしますね。


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イズ クラシシスト デッド? - Nude Beach



 Nude Beachのニューシングルが公開されていました。今夏にニューアルバムを期待していたのですが、ツアーに出るらしく、それは期待薄かな。


自主制作盤「II」を昨年の夏にブルックリンのアワーミュージックからリイシューして話題になったパンクバンドNude Beach。もう、完全にこの手のクラシックパンクは大好物だけど、人によってはただの古臭い音楽にしか聞こえないかもしれない。そりゃあ、彼らはBruce SpringsteenやTom Petty、Replacements、その他クラシックなパンクマテリアルからの影響を公言しててそこには新しさなんかみじんもない。ReplacementsがStonesやJohnny Thunders, Ramonesから影響を受けてパンクをやっていたように、ルーツをたどれば時代はどんどん逆行していく。

しかしながら、音楽にはどうしても新しさは必要だろうか? 彼らは自主盤カセットとLPをライブヴェニューだけで500枚売ったことで注目され、フックアップされた。(サウンドクラウドにのせた音源が、ネットを通じてバズったわけではない) その現象にも新しさはないが、ブルックリンの真ん中でそんな価値観がまだ存在することは、これまたべつにおかしいことではないのだ。
音楽を愛する人々は、イノベイティブな価値観と同じくらいエヴァ―グリーンな価値観も持っている。あの音は古いとか、新しいものじゃなきゃ認めないとか(その逆の話も)、ここにそういう話はいらない。

わかりやすいメロディにのせてわかりやすい歌詞を汗だくで歌うバンド。狭いシェアハウスでビアタブ持ち込んでパーティーして、ルーフトップで花火して、この程度のことが最高に楽しかったりするんですよ、案外。




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Lace Curtain - Falling




 Bathsが背中を丸めてつまみをいじっている愛くるしい姿を見てみたくなり画像検索をかけると、そこにはずらっと並んだお風呂の画像が。。。
となるのは、インディーロックあるあるですが(私だけ?)、Mexican SummerからFalling/Running12'とEPをリリースしたLace Curtainを検索すると、多彩な刺繍のカーテン画像がご覧いただけます。

閑話休題、Lace Curatainはオーストラリアのサウンドプロデューサーであり、ポストパンクバンドTotal ControlやRat Colums、 Eddy Current Suppression RingのメンバーでもあるMikey Youngを中心に結成されたエレクトロトリオ。(ちなみにHarlemのMichael CoomerのソロプロジェクトLace Curtainsとは別だそうです。)この春には、DFAからセルフタイトルEPもリリースしている。
Fallingはクラウトロックの影響を感じさせるダークなシンセサウンドにミニマルなギターのリフとボーカルが乗った、エレクトロトラック。ブルーがキーカラーになったミュージックビデオもいい感じ。




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サンフランシスコ発、南半球経由ローファイポップ - The Mantles

 

 今週Slumberlandから2ndアルバムをリリースしたThe Mantles。マントルズはサンフランシスコの4人組ローファイガレージポップバンドで、セルフタイトルのアルバムで2010年にデビュー。本作Long enough to leaveは、60'sガレージサウンドにインスパイアされた、バラエティ豊かな楽曲がそろっている。

さらに、特筆すべきは、ニュージーランドのレーベルFlying Nun Recordsからの多大な影響をバンドが公言していることで、The Cleanのみならず、The VerlainesやThe Doublehappysなどのバンドをフェイバリットに挙げています。



Flying Nunについてはまたいつか書きたいと思っていますが、ひとまずは、晴れた休日の午後にぴったりなThe Mantlesをぜひ。R.E.MやReal Estateにも通ずる軽やかなギターリフと、それに乗った鍵盤のメロが爽やかです。 曲調に反して、Brown Baloonsの歌詞などは、ナードな青年の懊悩という感じですけどね。




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Pitchfork Advanceっていいよね

 
 随時、気になったトピックやニュースなどのショートコラムなんかも書いていきたいと思います。今回は、Pitchfork Advanceについて。



 ピッチフォークが2013年から始めた、Pitchfork Advanceは、発売前の新譜を期間限定でエクスクルーシブに配信するコーナー。アルバムを通しで聴けるほかに、アートワークやトラックリスト、簡単なアーティストバイオグラフィなども同時に掲載し、単なる音源先行試聴機会の提供に留まらない、複合的な音楽体験を提案するものだそうです。
というのは、「昔のCDやLPはアルバムアートワークやクレジット、歌詞、バイオなどを含めてひとつの作品だった。それが、デジタル配信の世界になって、そういった作品の複合感が薄れてきている」とピッチフォークが感じているからだとか。
それらすべてを含めてひとつの作品、という「パッケージ」をWeb上に再現する目論見としてPitcfork Advanceはデザインされているらしく、確かにビジュアル面でも楽しめるサイトの作りになっています。いつまでも実験的な精神とフィジカルなプロダクトへの尊敬を忘れない、ピッチフォークらしい思い付きだと思います。
音楽ファンにとってはピッチフォーク版の、NPRのFirst Listenみたいなものとして重宝しますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、公開される作品は1~2週単位で入れ替わる(詳細は未確認です)ようで、いまの私のオススメはAll Tiny Creaturesの2ndアルバムDark Clockです。
All Tiny creaturesは、Bon Iverのジャスティンが参加するVolcano ChoirとCollections of Colonies of Bees(数年前の来日見逃したのをいまだに後悔中)のメンバーでもあった、トーマス・ウィンセクが率いるバンド。



音は、ピコピコ系エレクトロシンセが効いたシンフォニックポップ。適度にゆるく、ハーモナイズされた曲調の曲が多い反面、前作のようなミニマル~ポストロック調のトラックも含まれていてバラエティに富んだ一枚になっています。歌モノ度は上がっていますが、総じてカラフルでドリーミーだった前作Harborsの延長線上にあり、ファンなら要チェックの一枚です。



彼らの本来の生演奏スキルを覆い尽くすほどの打ち込み音源の多用っぷり、、、なる批判もあるようですが、私にしたら心地よいまとまり具合です(作品へのこういった評価は、結局バンドへの思い入れとか嗜好性によりますしいろいろな意見があっていいですよね)。


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真夏のKanine Records


 ブログを始める目的のひとつに、インディーレコードレーベルのことをまとめる記事を作っていきたい、というのがあります。
自分の中でレーベル間の違いや横のつながりなんかを意識するために、少しだけ体系的な理解の仕方をしたいな、という思いがあるからなのですが、順不同でちょこちょことまとめていければいいかと思っています。

そんなこんなで、第一弾はKanine Recordsを紹介します。

 いま日本は梅雨の真っ只中ですが、真夏感満載のインディーアーティストたちが名を連ねる、ブルックリンのレーベルKanine。

5月にちょうど10周年を迎えた、リオとカイのカーナイン夫妻が運営するレーベルです。SubpopのOxford Collapse(すでに解散)なんかも名を連ねている当時のブルックリンのインディーシーンのまさにネクストウェーブを集めたコンピレーション「NY: The Next Wave」のリリースを皮切りにレーベル運営をスタート。地元の才能あるバンドの発掘に取り組み、Grizzly BearやChairliftらのヒットとともにレーベルの運営も軌道に。ここ数年は、再び新人に力を入れているように感じます。

で、「真夏感満載」の部分なんですが、このレーベルの所属バンド、なぜかストレートな夏っぽい名前が多い。

いまやレーベルの看板バンドのひとつに成長した、新譜Pythonsも好評なSurfer Blood。

つぎに、アジア系のフィメールボーカル、ニコルの伸びやかでどこか幼いな歌唱とストレートなメロディが特徴の シューゲイズ/ドリームポップ・パンクバンドEternal Summers。You Killの疾走感が素敵。



Beach DayはTrip Trap Attackで先ごろデビューした3ピース。こちらも ロネッツやシャングリラズなどの60'sガールバンド、サーフポップ、ガレージ、ドリームポップの影響を真正面から受けた新鋭。ヴィヴィアンガールズへのフロリダからの回答って感じ。いや、回答してどうする、という感じなのだが。VoのKimmyいわく、ただひたすらに生まれたフロリダの太陽を歌い、ファンを楽しく躍らせることにフォーカスしてるとのこと。いさぎよく、踊らされるが勝ちな感じのポップス。

ここでアルバム全曲聴けますね。


今夏、アルバムComfortでデビューするSplashhhは経歴がおもしろい。バイロンベイ(オーストラリア西部の、サーファーとヒッピーのパラダイスw)で出会ったニュージーらんどい出身のサシャとオーストラリア人のトートが、ヴァカンスを延長したい目的でロンドンに移住、それを経てバンドを結成。ここにも異なる地からの、夏の影響がある。夏の泡沫を少しでも長く……的な? まあ、なんかダメな空気も感じ取れますが。。。 サウンドは90'sに影響された、ディストーションとドリーミーっぽさがないまぜになった感じ。メロディもよく、注目できる存在です。I need a long vacation~♪と歌うVacationがいいです。



という感じででしょうか。まあ集まっているのはたまたまなんだろうけど、みんなそれぞれのバックグラウンドから夏、海にインスパイアされて、いまポップミュージックをやっているバンドたち。好きな季節は夏の私からすれば、無条件に愛すべきアティテュードとも言えます。

ほかにも、アートスクールのプロジェクトで結成された(という理由がしっくりくる)ドリームポップバンドのFear of the manなんかもいい感じです。Seerのビデオの幻想的な雰囲気もいい。


ここまできていて、Surfer Bloodの新譜についての言及がない、とかいう声もありそうですが、まだ一度しか聴けてないのでそれはいずれまた。
ピッチフォークの点数はそこそこだった気がしますが、完成された彼らの音だったと思います。すごく好きな感じの。

レーベルとしては、観客は昔はCDを聴いてライブに行っていたのが、いまはライブで観かけてよかったバンドのCDなら買う、って感じになっていることを敏感に感じていて、いまは何よりもライブを大事にしているそうなので、日本への来日も希望したいですね。

それでは、こんな感じで、これからもなんとなくレーベルの話をさらっと書いていきます。きっと。

最後にすごい余談ですが、iPodのCMにChairliftのBrusiesを使ったとき、Apple側は異なる5曲で5パターンのCMを作って、どれを実際に流すのかは事前にKanine側にも伝えなかったそう。
曲が使われているのを知ったのは、たまたま通りかかったアップルストアで流れているのを見たときで、オーナーのリオはとても驚いたそうです。懐かしい、あのCM。それではまた。


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2013年上半期インディーロックレコードベスト5

2013 Best albums of the year so far


2013年も早くも前半終了。
そこで、第1回目のポストでは、A kind of low fidelityが選ぶ2013年上半期ベストディスクを紹介します。

いきなりのポストがハーフイヤーベストとは我ながら思い切りのいい感じではありますが、このブログでは、だいたいこういう感じの音楽のポストをしていきますよ~、という名刺代わりになればいいなと。
それでは、5位からいきましょう。

5. Mikal Cronin :  MCII


  Suprechunkの新譜リリースを控えて(個人的にはLove Languageが待ち遠しい)、今年はいつにもまして勢いがすごいMerge Recordsからの新人(シカゴのTrouble in Mind Recordsから移籍したみたい)。
タイ・セガールのライブバンドのメンバーとしても活動していたほかにもいくつかのバンドに参加していたようですが、ぜんぜん知らなかった。
こんなローファイパンク/サーフポップのアーティストがマージから出るのはなんだか嬉しいですね。それだけで注目したし、実際聴いてみてそのポップさの虜にされました。

ポップミュージックのフォーマットに従って、緩急つけた3分ポップが矢継ぎ早に展開され、あっという間にリピートしているという不思議。





Shout it outとかChange、I'm done running from youみたいな曲はまさにツボすぎます。
ピッチフォーク曰く、曲のパワーとポップのエッセンスのバランスが絶妙であり、それが全曲に渡って自然に均一化されているからいいアルバムに仕上がっているんだという。ピッチフォークの音楽評論はなんとなく抽象的にすぎることが多い気がするが、まあ当たってるし、いいか。なんか、つまりこのいい感じのポップソングを昔の人はパワーポップと呼んだのかもしれない、とかちょっと思い出した。ピンカートン。

4. Kurt Vile : Wakin on a Pretty Daze


 肩の力が抜けるギターのリバーブが印象の、ミディアムテンポな表題曲(タイトルとはちょっと文字違うけど)Wakin on a pretty day。
この春のアンセムでした。散歩中とか、電車の中で聴いてると、桃源郷感がすごかったです。

Kurt Vileはフィラデルフィア出身のローファイ、サイケ、ルーツロックをベースにしたSSW。ソロでの活動のほか、元The War on Drugsのメンバーとしても知られる。
ループするコードとロートーンなボーカルが織りなすメロディが、煙った感じのカート節を出していて、そっけない感じではあるんだけど、意識を持っていかれる部分が多い。
ピッチフォークがキャリア最高傑作だって言うのもうなずける。



そういえば、去年の早い段階で彼のショーを観たときは、まだ新曲っぽいものはほとんどやってなくて、でも出されたアルバムを聴いてみると、どこかで聴いた感じの曲が多いという印象はあったので、もしかしたら演奏してたのかも、、、といまさら思いつつも、それはもう後の祭りかな。

3. Vampire Weekend :  Modern Vampires of the City



アイヴィー・リーグ的なイメージに反し、アフロビート取り入れたニューウェーブポップをかき鳴らしていたヴァンパイアウィークエンドも、いまやしっとりした大人の楽曲を作るようになったんですね。
いや、性急なビートにエズラの早口なボーカルとロスタムのキーボードが絡んで、、、というサウンドの根幹は変わっていないのだけど、A-PunkとかGiving up the Gunのようなアッパーなダンストラックは今回のメインではない(UnbilieversとかDiane Young、Worship Youくらい、ん? じゃあけっこうあるか)。

かわりにこの3rdでは、StepやYa Heyのようなギターレスのピアノトラックが新鮮で印象的だ。
なかでも、オークランドのヒップホップグループ、Souls of Mischiefのメロウなトラック「Step to my girl」をサンプルしたStepがやっぱり本作のハイライトになるのだろう。

さまざまな環境が変わっていく中で、それを音に反映させていくことも、あえてそれをせずにいることも、どちらも素晴らしい表現の道だと思う。
Everlasting Armsのような1stを思い切り彷彿とさせる曲も残しつつ、意識的にそのあたりのバランスを保って、バンドとしての成長や進化を自覚的にコントロールしているのだろうことを窺わせるあたり、やっぱりスマートな集団だと思います。
すごいバンドですよ、つくづく。



2. Various Artists  : After Dark 2



 もう数年来、夜の孤独や焦燥を、ただただこのひとりの男が手掛けるダークでメランコリックなディスコサウンドが和らげてくれている。私の夜のお供。
本作は、トラックメイカー/サウンドプロデューサーのジョニー・ジュエルが主催するレーベルItalians Do It Betterのコンピレーションアルバム。

冒頭のWarm in the winterは2年位前にシングルリリースされていたJhonnyとIdaによるデュオGlass Candyの名曲の再録。ミニマルなシンセの音が心地よい恍惚感をもたらしてくれる。


ジョニーのセルフプロジェクトSymmetoryや、昨年リリースされたのKill for Loveで話題をさらったChromatics(去年Harvest Fesで観たライブは最高でした)の楽曲も収録。


イタロディスコ、ミニマル、エレクトロポップ、ポストパンクと、オールドシンセにのせたクラシカルなエレクトロサウンド全編を通して鳴り続ける。

ちなみに発売後ひと月たって、現在アルバムはフリーで配信されています。
ジョニーのこういう泡沫っぽい考え方は、すごく音に表れている気がする。
諸行無常の響き、って言葉はまったく似合わないのだけど、「人生ははかない物なんだから、せめてこの時だけ楽しもうよ」っていう週末のダンスホールに渦巻いている空気を勝手に感じ取って、そこに心酔してしまっているのです。
DLはこのSoundcloudのページか、下のプレイヤーから。




1.  Foxygen : We are 21st Century Ambassadors of Peace & Magic


 「なんかまともじゃない気がする」、、、と、初めてこのアルバムジャケットを見たときは思ってはずだ。なんせ、逆ピラミッドの下からのぞく目。まさにイルミナティではないか。
そのうえ、アルバムのタイトルがこれまたぶっ飛んでいて、We are 21st century ambassadors of peace and magicって。
やっぱりカルトの一派か。どんな曲なんだろう、いろいろこじらせてエクスぺリメンタルな方向に行ったアーティストかしら。。。
と思って怖々聴いてみると、そこから聴こえてきたのは、スイートなサイケポップだった。(彼らが昨年EPを出してたのは知りませんでした。)
FoxygenはSam FranceとJonathan RadoからなるL.A出身のデュオ。
牧歌的なアリエルピンクというか、60'sサウンドをそのまま再現したプレイスタイルは、どこにも新しさはないものの、「彼ららしさ」は多分に含まれている。


何が彼ららしさかというと、それはサウンドコラージュの部分にあるらしい。
キンクスやヴェルヴェッツに始まり、ストーンズ、ディラン、ドアーズ、史上もっともロックが華々しかった時代のそうそうたるアーティストに影響を受けているのはアルバムを通して聴けばすぐわかるが、本当のすごさは一曲に含まれるサンプリングの数だという。


エレキングのブレイディみかこさんのレビューによれば、

――例えば、"On Blue Mountain"という曲である。
ドアーズを歌うブラック・フランシスではじまったなあ、と思っているとヴェルヴェット・アンダーグランドになり、ストーンズも入って来た、なかなか変化に富んだ助走じゃねえか。と思っていると、いきなり白いジャンプ・スーツのエルヴィスが出て来て腰を振りながら"We can't go on together with suspicious mind"のメロディを歌い出すもんだから、なんだこの人たちはふざけていたのか。と、大笑いしてしまうのである。
ここまで、1分30秒だ。めまぐるしい。めまぐるしいんだが、実に巧妙に繋がっている。

とのこと。
うーん、ここまで深く分析されると、これは分析するほうもさすがです。

SamとJonathanのふたりは、スクールに通いがてらこうしたクラシックなロックレコードを堀り、それをシェアしつつ確信犯的にこういった遊び心を作品に落とし込んだ。
そうして生まれたこのサウンドが、目下のところ自分にとっての日常のサウンドトラックになっている。
その事実は、自分自身もよっぽどな懐古主義者なのか、変化を嫌う、ゆったりとした生活を望む人生のタームに入っているのかはわからないけど、なんだかそっちのほう(変化に富んだ音)は日本のアイドルポップ方面で満たされているので、洋楽インディーとして好む音はこういう嗜好になるんだろうな、と思うこのごろです。とにかく、ずっと聴き続けてます。

あと、私もよく拝見しているインディーブログ、モンチコンの上半期ベストがこないだラジオで発表されてましたが、ほとんど同じラインアップなのはたまたまです。
ちなみに、次点はRhyeとかBathsですね。それでは。


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